久留米市長は、どのように受け継がれてきたのでしょうか。
第15代・近見敏之氏が就任したのは1971年です。その後、谷口久氏、白石勝洋氏、江藤守國氏、楢原利則氏、大久保勉氏へと続き、現在は第21代・原口新五氏が市長を務めています。
この記事では、近見氏から原口氏まで、半世紀を超える久留米市政を担った歴代市長7人を一覧で整理します。
起点を近見氏とするのは、在任16年が久留米市の歴代市長で最も長く、その後の市長も含めて見ると、半世紀を超える久留米市政の流れが一続きで見えるためです。
名前と在任期間だけでなく、どのような経歴の人物が市長になったのかを重ねると、久留米市政では約47年間にわたって行政出身者が続き、その後に国政出身、市議会出身の市長へと移ったことがわかります。
第15代・近見敏之から原口新五まで|歴代久留米市長一覧
| 代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 在任期間 | 期数・主な経歴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第15代 | 近見敏之 | 1971年2月7日 | 1987年2月6日 | 16年 | 4期、元久留米市助役 |
| 第16代 | 谷口久 | 1987年2月7日 | 1995年2月6日 | 8年 | 2期、元久留米市助役 |
| 第17代 | 白石勝洋 | 1995年2月7日 | 2003年2月6日 | 8年 | 2期、元久留米市職員 |
| 第18代 | 江藤守國 | 2003年2月7日 | 2010年1月2日 | 6年11カ月 | 2期、元久留米市職員。在任途中に病気で辞任 |
| 第19代 | 楢原利則 | 2010年2月1日 | 2018年1月30日 | 8年 | 2期、元久留米市職員・副市長 |
| 第20代 | 大久保勉 | 2018年1月31日 | 2022年1月30日 | 4年 | 1期、元参議院議員 |
| 第21代 | 原口新五 | 2022年1月31日 | 現職 | 2期目 | 元久留米市議会議員・議長 |
※在任期間は久留米市公式「歴代市長一覧」に基づきます。原口新五氏は2026年1月に無投票で再選し、同年1月31日から2期目に入っています。
近見氏から原口氏まで、市長を務めた人物は7人です。
なお、近見氏の前は第14代・井上義人氏です。井上氏は1963年2月8日から1971年2月6日まで、2期8年にわたって市長を務めました。
第15代・近見敏之|16年間続いた長期市政
近見敏之氏は、1971年2月7日から1987年2月6日まで、4期16年にわたって久留米市長を務めました。
第15代以降の7人では、最も長い在任期間です。久留米市が公開する初代からの歴代市長一覧を見ても、16年は最長になります。
近見氏は久留米市助役を経て市長に就任しました。現在の「副市長」にあたる立場から市長となり、長期にわたって市政を担った人物です。
近見市政の時代には、中国・合肥市との友好都市締結、西鉄久留米駅東口の再開発、久留米・鳥栖地域のテクノポリス指定など、現在の久留米の都市構造につながる動きが進みました。
第16代・谷口久|助役から市長へ続いた行政の系譜
谷口久氏は、1987年2月7日から1995年2月6日まで、2期8年にわたって市長を務めました。
谷口氏も久留米市助役を経験した行政出身の市長です。近見氏から谷口氏への交代は、市長の人物は代わっても、市役所内部で行政実務を経験した人物が市政を引き継ぐ形でした。
在任中の1989年には久留米市制100周年を迎えました。1992年には現在の久留米市役所本庁舎が着工しています。20階建ての新庁舎が開庁した1995年は、谷口市政から白石市政へ交代した年でもありました。
第17代・白石勝洋|広域合併へ向けた準備期
白石勝洋氏は、1995年2月7日から2003年2月6日まで、2期8年にわたって市長を務めました。
白石氏も久留米市職員を長く務めた行政出身者です。近見氏、谷口氏に続き、行政組織の内側を知る人物が市長を務める流れが続きました。
久留米市と田主丸町、北野町、城島町、三潴町による広域合併の法定協議会は、白石市政末期の2003年1月に設置されています。後の「新しい久留米市」へつながる協議は、白石市政から江藤市政へまたがって進みました。
第18代・江藤守國|1市4町合併と中核市移行
江藤守國氏は、2003年2月7日から2010年1月2日まで市長を務めました。在任期間は6年11カ月です。
江藤市政の大きな転換点は、2005年2月5日の広域合併です。久留米市は田主丸町、北野町、城島町、三潴町と合併し、人口約30万人の新しい久留米市となりました。
さらに2008年4月1日には中核市へ移行しています。現在の久留米市の区域と行政権限は、江藤市政期に大きく形を変えました。
江藤氏は2期目の途中、病気のため辞任しました。そのため、後任を選ぶ市長選が2010年1月に行われました。
第19代・楢原利則|副市長から2期8年
楢原利則氏は、2010年2月1日から2018年1月30日まで、2期8年にわたって市長を務めました。
楢原氏は久留米市職員として環境部長、総務部長などを歴任し、2007年に副市長へ就任しました。江藤市政を副市長として支えた後、市長となった人物です。
近見氏が就任した1971年から楢原氏が退任する2018年まで、約47年間にわたって、助役、副市長、市職員など久留米市の行政実務を経験した人物が市長を務めました。
個々の選挙や支持基盤は同じではありません。しかし、経歴という視点で並べると、久留米市政では長く「行政を知る人物が市長になる」という流れが続いていたことがわかります。
第20代・大久保勉|行政出身市長の流れを変えた元参議院議員
大久保勉氏は、2018年1月31日から2022年1月30日まで市長を務めました。
銀行員、外資系金融機関勤務を経て、参議院議員を2期務めた国政出身の市長です。1971年の近見市政以降で続いてきた、久留米市の行政実務を経た市長とは異なる経歴でした。
大久保氏は1期4年で退任しました。今回取り上げた7人のうち、任期を終えて1期で退任したのは大久保氏だけです。
近見氏の16年、谷口氏と白石氏の各8年、江藤氏の6年11カ月、楢原氏の8年と比べると、ここで市長の在任期間は大きく短くなりました。
第21代・原口新五|市議会から市長へ
原口新五氏は、2022年1月31日に第21代久留米市長へ就任しました。
原口氏は久留米市議会議員を通算8期務め、副議長、議長を歴任しています。市役所の行政職員でも国会議員でもなく、市議会を政治的な基盤として市長になった人物です。
2022年の久留米市長選では4人が立候補し、原口氏が3万8973票を得て初当選しました。
当時の4候補の経歴と主張は、個性派ぞろい!?2022年久留米市長選候補者ってどんな人?まとめで整理しています。
原口氏の経歴や、兄である原口剣生県議、2016年の福岡6区補選から続く保守分裂との関係は、原口新五とは何者か|原口剣生県議の弟、久留米市長選と保守分裂の系譜で詳しく整理しています。
2026年1月の市長選では、原口氏以外に立候補者が現れず、無投票で再選しました。現在は2期目です。
2022年には4人の候補者がいた市長選が、4年後には無投票になりました。この変化については、久留米は終わっているのか?3000円給付と無投票再選が示した街の現在地で検証しています。
歴代市長を並べると、久留米市政の担い手が変わったことがわかる
第15代・近見敏之氏から第21代・原口新五氏までを経歴別に大きく分けると、次のようになります。
| 時期 | 市長 | 主な経歴の流れ |
|---|---|---|
| 1971~2018年 | 近見、谷口、白石、江藤、楢原 | 助役、副市長、市職員など行政出身 |
| 2018~2022年 | 大久保 | 国政・民間金融出身 |
| 2022年~ | 原口 | 市議会出身 |
市長名だけを並べると、7人の一覧に見えます。
しかし、経歴を重ねると、1971年から2018年まで約47年間続いた行政出身市長の時代があり、その後に国政出身の大久保氏、市議会出身の原口氏が続いたことが見えてきます。
久留米市長の交代は、単なる人名の入れ替わりではありません。市役所内部、国政、市議会のどこを基盤とする人物が市政のトップに立ったのかという変化でもあります。
2026年の無投票再選を歴代市長の流れから見る
2026年の久留米市長選は、現職の原口新五氏だけが立候補し、無投票となりました。
原口氏は第21代市長のまま、2026年1月31日から2期目に入りました。
市長が何人代わったかだけでは、久留米市政の競争の有無まではわかりません。
2022年は4人の候補者から市長を選ぶ選挙でした。2026年は選択肢が示されず、投票そのものが行われませんでした。同じ人物が続投する場合でも、投票を経た再選と無投票再選では、市民が市政を選ぶ過程が異なります。
市長とともに市政を構成する現在の議員については、久留米市議会議員一覧【2026年版】|定数36・現職35人の会派、当選回数、前回得票数で一覧にしています。
まとめ|第15代・近見敏之から見える久留米市政の変化
第15代・近見敏之氏から現職の第21代・原口新五氏まで、久留米市長を務めたのは7人です。
近見氏は16年。谷口氏、白石氏、楢原氏は各8年。江藤氏は2期目途中までの6年11カ月。大久保氏は1期4年。そして原口氏は現在2期目です。
この半世紀を通して見ると、近見氏から楢原氏まで約47年間続いた行政出身市長の時代があり、その後に国政出身の大久保氏、市議会出身の原口氏が続いたことがわかります。
在任期間も、近見氏の16年を頂点に、8年を基本とする時代を経て、大久保氏は1期4年で退任しました。原口氏は2026年の無投票再選によって2期目に入っています。
久留米の政治全体を、市長選、市議会、県議会、国政との関係から見るための入口は、久留米の政治を読む|市長選・市議会・県議会から街の動きを整理するにまとめています。
歴代市長の一覧は、過去の名前を確認するためだけのものではありません。
誰が、どの経歴を持ち、どのような選挙を経て久留米市政を担ってきたのか。その流れを置くことで、現在の原口市政と、次の久留米市長選がどこに位置するのかが見えてきます。

