2023年の福岡県議選では、無投票当選した21人全員が当時の現職でした。
2023年4月9日に行われた福岡県議会議員選挙では、44選挙区、定数87人に対して126人が立候補しました。
このうち、候補者数が定数を超えなかった14選挙区では投票が行われず、21人が無投票で当選しました。県議会の全87議席のうち24.1%、ほぼ4人に1人です。
前回の2019年県議選では18選挙区が無投票だったため、無投票の選挙区数は4つ減りました。それでも、県議の4分の1近くが有権者の投票を経ずに議席を得たことになります。
ただし、2023年に無投票当選した21人全員が、2026年現在も県議を続けているわけではありません。佐々木允氏、冨永芳行氏、西元健氏の3人はすでに県議を離れています。
まず2023年に無投票当選した21人と現在の在職状況を確認し、その後に筑後地方の4人を詳しく見ていきます。
2023年福岡県議選で無投票当選した21人
2023年県議選で無投票となった選挙区と当選者は、次の通りです。党派は選挙当時の届け出、在職状況は福岡県議会が公表する2026年9月1日現在の議員一覧に基づいています。
| 地域 | 選挙区 | 定数 | 2023年の無投票当選者 | 2026年9月現在 |
|---|---|---|---|---|
| 筑後 | 大牟田市 | 2 | 大橋克己(無所属)、永川俊彦(自由民主党) | 2人とも現職 |
| 筑豊 | 飯塚市・嘉穂郡 | 2 | 高橋義彦(自由民主党)、江藤秀之(自由民主党) | 2人とも現職 |
| 筑豊 | 田川市 | 1 | 佐々木允(無所属) | 辞職 |
| 筑後 | 大川市・三潴郡 | 1 | 秋田章二(自由民主党) | 現職 |
| 福岡 | 大野城市 | 2 | 井上順吾(自由民主党)、井上博隆(無所属) | 2人とも現職 |
| 福岡 | 福津市 | 1 | 吉田浩一(自由民主党) | 現職 |
| 筑豊 | 宮若市・鞍手郡 | 1 | 花田尚彦(自由民主党) | 現職 |
| 筑豊 | 嘉麻市 | 1 | 江頭祥一(自由民主党) | 現職 |
| 福岡 | 朝倉市・朝倉郡 | 2 | 中嶋玲子(無所属)、林泰輔(自由民主党) | 2人とも現職 |
| 筑後 | みやま市 | 1 | 板橋聡(自由民主党) | 現職 |
| 福岡 | 那珂川市 | 1 | 渡辺勝将(自由民主党) | 現職 |
| 福岡 | 糟屋郡 | 3 | 吉松源昭(自由民主党)、西尾耕治(公明党)、冨永芳行(立憲民主党) | 吉松氏、西尾氏は現職。冨永氏は辞職 |
| 筑豊 | 田川郡 | 2 | 神崎聡(無所属)、大島道人(自由民主党) | 2人とも現職 |
| 北九州 | 築上郡・豊前市 | 1 | 西元健(自由民主党) | 辞職後、豊前市長に当選 |
| 合計 | 14選挙区 | 21 | 21人 | 現職18人 |
現在の議員:福岡県議会「全議員一覧(令和8年9月1日現在)」
なお、吉松源昭氏は2024年にいったん県議を辞職した後、同年12月の糟屋郡補欠選挙で再び当選しています。現在は県議ですが、現在の議席は無投票ではなく、選挙戦を経て得たものです。本記事の「現職18人」は、2023年の無投票当選者21人のうち、2026年9月現在も県議を務めている人数として数えています。
4地域で比べると、筑後の4人は3番目
福岡県を福岡、北九州、筑豊、筑後の4地域に分けて比較します。ここでは福岡市を福岡地域、北九州市を北九州地域に含めています。
| 地域 | 全選挙区数 | 全定数 | 無投票選挙区 | 無投票当選者 | 全定数に占める割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 福岡 | 18 | 43 | 5 | 9 | 20.9% |
| 北九州 | 12 | 21 | 1 | 1 | 4.8% |
| 筑豊 | 6 | 8 | 5 | 7 | 87.5% |
| 筑後 | 8 | 15 | 3 | 4 | 26.7% |
| 合計 | 44 | 87 | 14 | 21 | 24.1% |
無投票当選者の人数が最も多かったのは福岡地域の9人で、次が筑豊地域の7人です。筑後地域は4人で、4地域のなかでは3番目でした。
各地域の全定数に占める割合を見ると、筑後は26.7%です。県全体の24.1%をわずかに上回りますが、筑豊では8議席のうち7議席、87.5%が無投票で決まっています。
筑後地方で無投票当選したのは4人
筑後地方では、大牟田市、大川市・三潴郡、みやま市の3選挙区が無投票となり、4人が当選しました。
大牟田市|大橋克己、永川俊彦
大牟田市選挙区は定数2人です。
2023年は、無所属の大橋克己氏と自由民主党の永川俊彦氏の現職2人だけが立候補しました。候補者数と定数が同じだったため、2人とも無投票で当選しました。
複数人区であっても、立候補者が定数を超えなければ有権者による投票は行われません。2023年の大牟田市では、2議席の顔ぶれが告示の段階で決まりました。
大川市・三潴郡|秋田章二
大川市・三潴郡選挙区は定数1人で、大川市と三潴郡大木町によって構成されています。
2023年は自由民主党の秋田章二氏だけが立候補し、無投票で5回目の当選を決めました。
秋田氏が初当選した2007年以降、この議席では無投票が5回続いています。2007年は旧大川市選挙区で、2011年から大木町を含む現在の大川市・三潴郡選挙区となりました。大木町の有権者にとっても、2011年、2015年、2019年、2023年と4回連続で県議選の投票が行われていません。
秋田氏は、県議選で一度も対立候補と争わないまま5回当選してきたことになります。
みやま市|板橋聡は4回すべて無投票
みやま市選挙区も定数1人です。2023年は自由民主党の板橋聡氏だけが立候補し、無投票で4回目の当選を決めました。
板橋氏は2011年に初当選しましたが、2011年、2015年、2019年、2023年の4回はいずれも無投票でした。秋田氏と同じく、これまで県議選の選挙戦を一度も経験していません。
板橋氏の経歴や、父・板橋元昭氏、古賀誠氏、蔵内勇夫氏、ワンヘルスとの接点は、福岡県議会副議長・板橋聡とは何者かで詳しく整理しています。
筑後市は2023年に20年ぶりの選挙戦
筑後地方のなかでも、筑後市選挙区は2023年の無投票当選者一覧に入っていません。
2023年は、自由民主党の現職だった蔵内勇夫氏に、元筑後市副市長の北島一雄氏が無所属で挑みました。筑後市選挙区で県議選の投票が行われたのは、2003年以来20年ぶりでした。
結果は、蔵内氏が9,889票、北島氏が8,237票で、票差は1,652票でした。無投票が4回続いた選挙区でも、対立候補が出ると有効投票の45.4%が現職以外に投じられました。
なぜ筑後市で20年間も選挙戦が行われなかったのか、そして2023年に何が数字として表れたのかは、20年間無投票だった筑後市と「選べない」県議選で検証しています。
蔵内氏は10回の当選のうち、1991年、1995年、1999年、2007年、2011年、2015年、2019年の計7回が無投票でした。全11回の出馬と得票数は、蔵内勇夫の全選挙記録にまとめています。
その蔵内氏が2026年8月に県議を辞職したため、筑後市選挙区では同年10月4日に補欠選挙が行われます。日程と2027年県議選までの短い任期については、蔵内勇夫辞職で筑後市県議補選は10月4日で整理しています。
2023年の無投票当選者21人は全員が当時の現職
2023年に無投票当選した21人には、新人も元職もいませんでした。全員が現職です。
選挙当時の党派別では、自由民主党14人、無所属5人、公明党1人、立憲民主党1人でした。自由民主党が3分の2を占めますが、大牟田市、大野城市、朝倉市・朝倉郡、糟屋郡のように、党派の異なる現職がそろって無投票となった複数人区もあります。
無投票当選で分かるのは、候補者数が定数を超えなかったという事実です。得票数も得票率も存在しないため、現職が有権者の何割から支持されたのかは測れません。
一方で、21議席がすべて現職によって占められたことから、無投票が既存の議席をそのまま維持する仕組みとして働いたことは分かります。
まとめ|2026年現在の現職は18人、2027年は対抗馬が出るのか
2023年福岡県議選では、44選挙区のうち14選挙区が無投票となり、定数87人のうち21人が投票なしで当選しました。そのうち、2026年9月現在も県議を務めているのは18人です。
筑後地方の無投票当選者は、大牟田市の大橋克己氏と永川俊彦氏、大川市・三潴郡の秋田章二氏、みやま市の板橋聡氏の4人です。人数では4地域のうち3番目であり、筑後に特に集中していたわけではありません。
ただし、大川市・三潴郡では旧大川市選挙区から5回連続、みやま市では板橋氏の初当選から4回連続で無投票が続いています。県全体の数字とは別に、同じ地域で有権者に選択肢が示されない状態が長く続いていることも見ておく必要があります。
2027年の県議選で注目すべきなのは、現職が何期目を目指すのかだけではありません。2023年に無投票で決まった21議席に対抗馬が現れ、有権者が候補者を選べる選挙になるのかどうかです。
福岡県議選の無投票を、選挙区や人物ごとにさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
