蔵内勇夫前県議の辞職に伴う福岡県議会議員補欠選挙・筑後市選挙区は9月25日に告示され、牛島慶二郎氏、河野一弘氏、坂野忠幸氏の新人3人が立候補しました。
2026年10月4日に投開票が行われ、無所属新人の牛島慶二郎氏が7,945票を得て初当選しました。河野一弘氏は1,809票、坂野忠幸氏は1,715票でした。
投票率は30.00%で、2023年県議選の45.82%を大きく下回りました。
この投票率が示す意味と、低投票率によって組織票の比重が高まる構造については、筑後市県議補選、投票率30.00%|県政が揺れても7割が投票しなかった現実で検証しています。
ただし、今回選ばれた牛島県議が新たに4年間の任期を得るわけではありません。任期は、現在の福岡県議の任期が満了する2027年4月29日までです。
投開票日から任期満了までは約7カ月。さらに、2027年春には次の県議選が行われるため、当選者は実際には半年ほどで再び選挙を迎える見通しです。
今回の補選は、約40年にわたって筑後市の県議を務めた蔵内氏の後継を決める選挙であると同時に、2027年県議選の「第1戦」となる選挙です。
蔵内氏が議長職だけでなく県議まで辞めた理由と、県議辞職後に残る役職や影響力については、蔵内勇夫はなぜ議員辞職したのか|その先で守ろうとしているもので詳しく整理しています。
筑後市県議補選の日程
福岡県選挙管理委員会が発表した日程は、次の通りでした。
| 日程 | 内容 | 場所・時間 |
|---|---|---|
| 9月10日(木) | 立候補予定者説明会 | 筑後市役所東庁舎3階・午後2時~4時 |
| 9月25日(金) | 告示・立候補受付 | 筑後市役所東庁舎3階・午前8時30分~午後5時 |
| 10月4日(日) | 投開票 | 開票後、サザンクス筑後で選挙会 |
| 10月5日(月) | 当選証書の付与 | 筑後市役所・午前11時 |
選挙すべき人数は1人で、牛島氏が当選しました。
筑後市選挙区の選挙人名簿登録者数は、2026年6月1日現在で3万9,960人となっています。
任期は2027年4月29日まで|次の選挙は約半年後
補欠選挙で当選した牛島議員は、前任者の残りの任期を引き継ぎます。公職選挙法第260条は、補欠議員が前任者の残任期間を在任すると定めています。
福岡県が公表している任期満了日は、2027年4月29日です。
任期満了日までは約7カ月ですが、2027年の県議選は任期満了前の春に行われます。次の選挙日程はまだ決まっていないものの、今回の投開票から次の県議選までは約半年になる見込みです。
つまり、補選の当選者・牛島県議には準備期間がほとんどありません。就任後すぐに県議会で活動しながら、2027年の選挙へ向けて後援会、政党、市議、地域団体との関係を固めることになります。
約40年続いた「蔵内勇夫の議席」が空いた
蔵内勇夫氏は1987年に筑後市選挙区で初当選し、2023年まで10期連続で当選しました。
しかし、10回すべての選挙で有権者の投票を受けたわけではありません。1991年、1995年、1999年の3回に加え、2007年から2019年までは4回連続で無投票でした。10回の当選のうち、7回が無投票です。
1983年の初出馬から2023年までの得票数、得票率、投票率、対抗候補は、蔵内勇夫の全選挙記録|1983年の落選から10期連続当選、7回の無投票までで一覧にしています。
特に重要なのは、2003年から2023年までの20年間、筑後市選挙区で県議選の投票が行われなかったことです。
なぜ対抗候補が現れにくかったのか。無投票は圧倒的支持を意味するのか。この点は、蔵内勇夫は本当に市民の支持を集めてきたのか|20年間無投票だった筑後市と「選べない」県議選で検証しています。
2023年は北島一雄氏が1,652票差まで迫った
2023年4月9日の県議選は、筑後市選挙区で20年ぶりに行われた選挙戦でした。
結果は次の通りです。
| 候補者 | 党派・立場 | 得票数 | 得票率 |
|---|---|---|---|
| 蔵内勇夫 | 自民党・現職 | 9,889票 | 約54.6% |
| 北島一雄 | 無所属・新人 | 8,237票 | 約45.4% |
投票率は45.82%、票差は1,652票でした。
北島氏は元筑後市副市長です。2023年には西田正治市長や公明党の支援を受けたと報じられており、選挙の構図は単純な「自民党対野党」ではありませんでした。
自民党公認の蔵内氏を支える側と、西田市政に近い地域の政治勢力が分かれた保守分裂に近い選挙でした。20年間の無投票で見えにくくなっていた筑後市内の力関係が、初めて票数として表れた選挙でもあります。
しかし、今回の補選で北島氏は立候補していません。
自民党は候補擁立を見送り「蔵内後」の政治基盤はどこへ向かうのか
補選の告示を迎え、一つの大きな構図が固まりました。これまで筑後市選挙区の議席を守ってきた自民党は、今回の補選で候補者を擁立しませんでした。
自民党は「地元支部から公認申請が出ていない」として候補擁立を見送りました。9月25日に立候補したのは、無所属で公明党の推薦を受ける牛島慶二郎氏、共産党の河野一弘氏、無所属の坂野忠幸氏の3人です。
筑後市選挙区では、蔵内勇夫氏が10回連続で当選し、そのうち7回が無投票でした。長年にわたって自民党所属の蔵内氏が維持してきた議席を、自民党自身が候補者を立てずに争う選挙となったことは、今回の補選を考えるうえで重要な変化です。
焦点は、単に「誰が蔵内氏の後任になるのか」だけではありません。
蔵内氏を支えてきた後援組織や農業関係者、地元政界の支持がどの候補へ向かうのか。そして今回の補選を経て、筑後市における自民党と地元政治の関係がどのように組み替えられていくのかも注目されます。
今回選ばれる県議が、蔵内氏が築いてきた政治基盤の一部を引き継ぐのか、それとも筑後市選挙区に新しい政治的な構図が生まれるのか。
その答えは10月4日の補選だけで決まるとは限りません。2027年の県議選まで含めて見ることで、40年近く続いた「蔵内氏の議席」の後に何が残り、何が変わったのかが見えてくることになります。
牛島慶二郎氏が当選
すでに2027年の県議選へ立候補する意向を表明していたのが、牛島慶二郎氏です。
しかし補選の日程決定によって、牛島氏は予定より半年早く判断を迫られることになりました。
そして今回、牛島氏は補選に出馬することを表明し、当選しました。
父は元福岡県議の牛島巖氏で、1987年の県議選では現職だった父・牛島巖氏を蔵内勇夫氏が破り、初当選しました。
その約40年後、牛島巖氏の息子が筑後市選挙区から県議になりました。牛島氏の経歴、東京とハワイでの不動産事業、筑後市へ戻るまでの流れは、牛島慶二郎とは何者なのか|父は元県議、ハワイ移住と筑後市県議選で整理しています。
牛島氏は、約半年後に再び選挙へ臨むことになります。
日本共産党の河野一弘氏は1,809票
日本共産党福岡県委員会は、筑後市県議補選に河野一弘氏を擁立しました。
選挙結果は、1,809票でした。
河野氏は1972年生まれ。みやま市出身で、日本共産党筑後地区常任委員を務めています。
県議選への立候補は今回が初めてですが、選挙そのものは新人ではありません。
2021年、2024年、2026年と、衆院福岡6区から3回連続で立候補しており、いずれも1万票を超える得票を記録しています。
今回の補選では、蔵内勇夫氏をめぐって表面化した福岡県議会の問題を念頭に、疑惑の真相解明や議会改革を訴えていました。
筑後市出身の牛島慶二郎氏が「筑後市と県とのパイプ役」を前面に出しているのに対し、河野氏は「県議会そのものを変える」という色合いが強く、候補者の立場の違いも見えていました。
河野氏の経歴や過去3回の衆院選、共産党が現在福岡県議会に議席を持っていないことについては、こちらの記事で詳しく整理しています。
関連記事:河野一弘とは何者なのか|衆院福岡6区に3度出馬、共産党が筑後市県議補選へ擁立
坂野忠幸氏は1,715票|元会社員・年金相談員
9月17日、3人の中では一番遅く坂野忠幸氏(54)が筑後市選挙区の補欠選挙に出馬する意向を固めたことが報じられました。
坂野氏は無所属の新人で、これまで営業職や日本年金機構の年金相談員などを務めています。
これにより、補選には牛島慶二郎氏、河野一弘氏、坂野忠幸氏の3人が立候補しました。
結果は、1,715票でした。
坂野氏の詳しい経歴や政策については、坂野忠幸(ばんの忠幸)とは何者か|無所属で出馬した日本維新の会党員で詳しく整理しています。
補選の当選者が2027年県議選の先頭に立つ
任期が短いからといって、今回の補選の意味が小さいわけではありません。
当選者の牛島氏は2027年の県議選に「現職」として臨めます。約半年とはいえ、県議会で質問し、地域課題を取り上げ、県議として活動した実績を示すことができます。補選でつくった支援組織や地域との接点も、そのまま本選へつなげられます。
一方、就任から次の選挙までが短いため、大きな政策成果を出す時間はほとんどありません。
10月4日に当選すれば、わずか12日後の10月16日には9月定例会の閉会本会議を迎えます。その後、まとまった審議に臨むのは12月定例会と翌年2月の予算議会です。任期満了までに経験できる定例会は事実上この2回しかなく、その直後には統一地方選が待っています。
補選で掲げた公約、県議会での最初の動き、誰と行動するかが、そのまま2027年の評価材料になります。
今回の補選は、7カ月だけ県議を務める人物を選ぶ選挙ではなく、2027年以降の4年間を誰に任せるのか。その第1段階でした。
10月4日、牛島慶二郎氏が当選
9月25日の告示で、候補者が正式に確定しました。
牛島慶二郎氏、河野一弘氏、坂野(ばんの)忠幸氏の3名です。
そして10月4日、牛島慶二郎氏が当選しました。
今回の補選は、単に空いた1議席を埋める選挙ではなく、蔵内氏本人がいなくなった後も、これまでの後援会や自民党の地域組織が同じ形で残るのか。
それとも、別の政治勢力が議席を獲得するのかが初めて問われた選挙でした。
しかし、前回の蔵内氏と北島氏との一騎打ちから投票率は下がりました。
投票率は30%、過去最低を記録しています。
蔵内氏が約40年かけて築いた政治基盤を誰が引き継ぐのか。
当選した牛島慶二郎氏については、こちらの記事で整理しています。
対抗馬としては、衆院福岡6区に3回出馬した日本共産党の河野一弘氏、日本維新の会党員ですが無所属の坂野(ばんの)忠幸氏がいました。経歴、過去の選挙、県議会改革を掲げる背景を整理しています。
筑後地方の県議については、こちらの記事で詳しく整理しています。

