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江口善明とは何者か|KBC記者から福岡県議会副議長へ、鳩山邦夫に挑んだ過去

江口善明とは何者か まちと政治
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福岡県議会の問題を追っていると、久留米市・うきは市選挙区の県議として、江口善明氏の名前が出てきます。

江口氏は、現在4期目の福岡県議です。2024年6月から2025年5月まで第87代福岡県議会副議長を務め、現在は自民党福岡県連の政務調査会長を務めています。

2026年8月17日の県議会臨時会では、蔵内勇夫議長に対する辞職勧告決議案の採決を中止する動議に賛成しました。

江口氏自身が、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑の当事者として告発されているわけではありません。江口氏を見るうえでの焦点は、県議会副議長を経験し、自民党福岡県連の政策責任者となった議員が、県議会の問題にどう向き合ったのかです。

その一方で、江口氏の経歴は、現在の肩書きだけでは見えてきません。

KBC九州朝日放送の報道記者、韓国留学、久留米市議、福岡県議を経て、2012年には衆院福岡6区で鳩山邦夫氏に挑戦しました。落選後は沖縄選出の国会議員秘書を務め、再び福岡県議会へ戻っています。

この記事では、江口善明氏の経歴、全県議選の結果、会派の変化、蔵内勇夫氏との接点、そして2027年県議選で問われるものを整理します。

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江口善明氏の現在のプロフィール

項目内容
氏名江口善明(えぐち・よしあき)
生年月日1974年3月26日
出身福岡県久留米市荒木町
選挙区久留米市・うきは市
当選回数4回
会派自民党県議団
主な県議会歴第87代福岡県議会副議長
党役職自民党福岡県連政務調査会長、副幹事長(福岡6区)
現在の所属委員会議会運営委員会、建築都市委員会、子育て支援・人財育成調査特別委員会

江口氏は1974年、久留米市荒木町に生まれました。

本人の公式サイトによると、1歳のときに父親を亡くし、専業農家だった祖父母に育てられました。この経験を、政治家を志した原点として挙げています。

荒木小学校、福岡教育大学附属久留米中学校、弘学館高校を経て、1997年に早稲田大学社会科学部を卒業しました。大学では雄弁会に所属しています。

KBCの報道記者から政治の世界へ

大学卒業後の1997年、江口氏はKBC九州朝日放送に入社し、報道部記者として勤務しました。

政治家になる以前に、政治や行政を外側から取材していた人物です。

江口氏は1999年1月にKBCを退社しました。その後、東京都品川区議選の選挙事務局、韓国の延世大学校韓国語学堂を経て、2000年にはソウル大学校社会科学大学政治学科の修士課程に入りました。

帰国後は全教研で社会科講師として勤務し、久留米市議時代には河合塾福岡校で政治・経済を教えていました。

また、1995年の阪神・淡路大震災では、震災直後から通算6か月にわたってボランティア活動に参加したと紹介されています。

報道、韓国での学び、教育、災害ボランティア。

現在の県議会内の肩書きだけを見ていると分かりにくい経歴です。

2003年、29歳で久留米市議に初当選

江口氏は2003年、29歳で久留米市議選に初当選しました。2007年には3,981票を獲得し、2期目の当選を果たしています。

この2007年市議選で、江口氏をわずかに上回る3,984票を獲得したのが、現在の久留米市長である原口新五氏でした。

江口氏と原口氏は、同じ市議選で得票上位に並んでいたことになります。

原口新五氏が市議会議長を経て久留米市長となった経歴については、こちらの記事で詳しく整理しています。

関連記事:原口新五とは何者か|原口剣生県議の弟、久留米市長選と保守分裂の系譜

2011年、久留米市選挙区から福岡県議へ

2011年の福岡県議選では、久留米市選挙区の定数5に対して6人が立候補しました。

江口氏は無所属新人として1万5,476票を獲得し、4位で初当選しました。5位当選の十中大雅氏との差は964.425票、落選した清田信治氏との差は4,841票でした。

初当選後、県議会では緑友会に所属しました。

ところが、県議になってから2年もたたないうちに、江口氏は県議の職を離れ、国政選挙へ向かいます。

2012年、衆院福岡6区で鳩山邦夫氏に挑戦

2012年11月、江口氏は衆院福岡6区への立候補を表明しました。

当時38歳。県議初当選から約1年8か月後の国政挑戦でした。

この選挙区には、元総務相で衆議院議員11期の鳩山邦夫氏がいました。民主党の古賀一成氏、日本維新の会の内野雅晴氏も立候補し、5人で争う選挙となりました。

順位候補者党派得票
1鳩山邦夫無所属87,705票
2古賀一成民主党47,643票
3内野雅晴日本維新の会32,321票
4江口善明無所属32,305票
5金子睦美日本共産党11,003票

江口氏は3万2,305票を獲得しましたが、鳩山邦夫氏には及びませんでした。3位の内野氏との差は、わずか16票です。

江口氏は立候補表明時、自民党福岡県連へ公認申請を行う意向を示していました。しかし、実際の選挙には無所属で立候補しています。

この時点で、江口氏が県議会だけを最終地点としていなかったことは明らかです。

4年後の2016年、鳩山邦夫氏の死去に伴う福岡6区補選では、鳩山二郎氏と蔵内勇夫氏の長男・蔵内謙氏が争いました。江口氏自身の国政挑戦は、この保守分裂選挙より前に行われていたことになります。

関連記事:蔵内勇夫はなぜ鳩山二郎に対抗したのか|麻生太郎も絡んだ2016年福岡6区補選

落選後は沖縄選出の国会議員秘書へ

衆院選落選後、江口氏は沖縄1区選出の國場幸之助衆議院議員の公設第一秘書、政策担当秘書を務めました。

國場氏は、江口氏の早稲田大学雄弁会時代の友人です。江口氏は秘書として基地問題や沖縄振興に関わったと説明しています。

久留米市議から県議へ進み、国政選挙に挑戦し、落選後は国会議員秘書として国政の内側を経験する。その後、再び福岡県議選に立候補しました。

2015年に県議へ復帰、3回連続で当選圏の最後

江口氏は2015年、無所属で福岡県議選に立候補しました。

久留米市選挙区は定数5に対して8人が立候補し、江口氏は1万2,297票を獲得。5位で県議に復帰しました。

その後、2019年、2023年も当選しています。しかし、選挙結果を並べると一つの特徴があります。

党派選挙区定数/候補者順位得票次点との差
2011年無所属久留米市5/64位15,476票+4,841票
2015年無所属久留米市5/85位12,297票+4,745票
2019年無所属久留米市5/65位14,962票+3,773票
2023年無所属久留米市・うきは市5/85位11,821票+4,083票

2015年から2023年まで、江口氏は3回続けて当選圏の最下位です。

いずれも次点候補に3,000票以上の差をつけており、「毎回、数票差で当選してきた」という意味ではありません。ただ、久留米市・うきは市選挙区の現職5人のなかで、2023年の得票が最も少なかったのは江口氏です。

原口剣生氏が2万7,452票で1位だったのに対し、江口氏は1万1,821票。両者の差は1万5,631票あります。

県議4期、副議長、自民党福岡県連政務調査会長という肩書きと、選挙での位置は分けて見る必要があります。

立志会、緑友会を経て自民党県議団へ

江口氏の所属をたどると、一直線に自民党県議団を歩いてきた県議ではないことが分かります。

2011年の県議初当選後は緑友会に所属しました。2015年の県議復帰後には立志会として一般質問に立ち、その後は再び緑友会に所属しています。

緑友会や立志会は国政政党の名前ではなく、福岡県議会内の会派名です。

江口氏は2019年と2023年の県議選にも無所属で立候補しましたが、いずれも自民党の推薦を受けました。そして2023年の改選後、自民党県議団に入りました。

福岡の地元経済メディアは、江口氏が以前から自民党県議団入りを望んでいたものの反対があり、2023年の改選後に入団が認められたと報じています。

少なくとも公式資料では、2023年2月の一般質問時点では緑友会、同年11月の県議会だよりでは自民党県議団所属となっています。

無所属で選挙に出ながら自民党の推薦を受け、県議会では保守系会派に所属し、最終的に自民党県議団へ入る。江口氏の立場を理解するには、選挙での党派と、議会内の会派を分けて見る必要があります。

麻生太郎、古賀誠、國場幸之助につながる国政人脈

江口氏は県議会の無所属会派にいた時期から、自民党の国政政治家との接点を持っていました。

2016年10月に開かれた江口氏の県政報告会には、麻生太郎氏と古賀誠氏が出席しています。

同じ2016年、福岡6区補選では、麻生氏と古賀氏が蔵内謙氏を支援しました。一方、江口氏が秘書を務めた國場幸之助氏は、古賀氏が会長を務めた宏池会系の国会議員です。

江口氏を特定の一人の系列だけに当てはめることはできません。しかし、県議会の小会派に所属しながら、麻生氏、古賀氏、國場氏と接点を持っていたことは確認できます。

そして2023年、自民党県議団に入った後は、県議会と自民党福岡県連の中枢へ進みました。

第87代福岡県議会副議長に就任

2024年6月24日、江口氏は第87代福岡県議会副議長に選出されました。

副議長就任時の議長は香原勝司氏です。2025年4月に蔵内勇夫氏が再び議長となった後も、江口氏は同年5月16日まで副議長を務めました。

在任期間は約11か月です。

副議長を退いた直後の2025年5月24日、江口氏は自民党福岡県連の政務調査会長に就任しました。

政務調査会長は、県連幹事長、総務会長と並ぶ党三役の一つで、政策を取りまとめる責任者です。現在は福岡6区担当の副幹事長も兼ねています。

江口氏は、2012年に無所属で福岡6区から国政へ挑戦した人物です。その13年後、同じ福岡6区を担当する自民党福岡県連副幹事長となりました。

蔵内勇夫氏との接点は「九州の自立」とハワイ訪問

江口氏と蔵内勇夫氏の接点は、公開資料から複数確認できます。

まず、江口氏は、蔵内氏が長年会長を務めた「九州の自立を考える会」の会員です。

同会の会員名簿には、江口氏だけでなく、久留米市・うきは市選挙区の現職県議5人全員が掲載されています。

関連記事:九州の自立を考える会とは|役員名簿から見えてくる福岡県議会の力関係

さらに2025年1月、江口氏は副議長として福岡県議会のハワイ州議会友好訪問団に参加しました。

訪問団は江口副議長をはじめ、蔵内勇夫氏、秋田章二氏、原中誠志氏の4県議で構成されていました。5日間の日程でハワイ大学、ハワイ州政府、州議会などを訪れ、ワンヘルスについても意見交換しています。

福岡県議会の海外活動で何が問題となってきたのかについては、こちらの記事で整理しています。

関連記事:福岡県議会の海外視察問題とは何か|100万円未満の随意契約から高額化した流れをわかりやすく整理

江口氏と蔵内氏の関係を、一度の同行だけで説明することはできません。ただ、県議会、自民党県議団、九州の自立を考える会、ハワイでのワンヘルス交流という複数の場で接点があったことは事実です。

蔵内議長の辞職勧告、その採決中止に賛成

2026年8月17日、福岡県議会の臨時会で、吉松源昭県議が蔵内勇夫議長に対する辞職勧告決議案を提出しました。

ところが、採決直前に自民党県議団の林泰輔県議が動議を出し、辞職勧告決議案の採決そのものが中止されました。

この採決中止動議に賛成した49人のなかに、江口善明氏も含まれています。

自民党県議団では、金銭授受疑惑について証言した江藤秀之氏を除く採決参加者全員が賛成しました。江口氏も会派の判断と同じ投票行動を取ったことになります。

この投票から確認できるのは、江口氏が、蔵内氏への辞職勧告をその場で採決することには賛成しなかったという事実です。

それが議会手続を重視した判断だったのか、会派の結束を優先したのか、蔵内氏を守る意図があったのか。江口氏本人による詳しい説明は確認できません。

江口氏は元KBC報道記者であり、県議会副議長経験者であり、現在の自民党福岡県連政務調査会長です。単に「自民党県議団の一人」として終わらせることのできない立場にいます。

蔵内氏は8月25日に議長と県議を辞職しました。しかし、蔵内氏が辞職したことで、採決中止に賛成した県議の投票行動まで消えるわけではありません。

関連記事:蔵内勇夫はなぜ議員辞職したのか|その先で守ろうとしているもの

2027年県議選で最初に当落線が動くのは誰か

次の福岡県議選は、2027年の統一地方選で行われる見込みです。

久留米市・うきは市選挙区では、2023年に8人が5議席を争いました。日本維新の会も候補者を擁立しましたが、4,648票で落選しています。

江口氏と次点との差は4,083票ありました。現時点で直ちに接戦という数字ではありません。

しかし、江口氏は2015年、2019年、2023年と3回連続で当選圏の最下位でした。2023年の現職5人の得票を比べても最下位です。

県議会問題への批判が続き、日本維新の会や参政党などが新たな候補を擁立した場合、現職5人のなかで最初に当落線上へ押し出される可能性があるのは江口氏です。

一方で、江口氏は自民党県議団に入り、副議長と県連政務調査会長を経験しました。2019年、2023年は「無所属・自民推薦」でしたが、次の選挙では自民党組織との関係がこれまで以上に前面へ出ることになります。

それが票を固めるのか。それとも、県議会問題に対する自民党県議団の対応と一体で評価されるのか。

2027年県議選では、江口氏の経歴だけでなく、2026年8月17日の投票と、その理由をどう説明するかが問われます。

まとめ|江口善明氏は県議会と国政を往復してきた政治家

江口善明氏は、KBCの報道記者から政治家となった人物です。

韓国留学、久留米市議、福岡県議を経て、2012年には鳩山邦夫氏がいる衆院福岡6区へ挑戦しました。落選後は沖縄選出の国会議員秘書となり、2015年に県議会へ戻っています。

県議会では立志会、緑友会を経て、2023年に自民党県議団へ入りました。その後、第87代副議長、自民党福岡県連政務調査会長と、短期間で議会と党の中枢へ進んでいます。

一方、選挙では3回続けて当選圏の最下位です。

そして2026年8月、蔵内勇夫議長への辞職勧告決議案の採決中止に賛成しました。

報道する側から政治を志し、無所属で鳩山邦夫氏に挑み、国会議員秘書を経て、自民党県議団の中枢へ入った江口氏。その政治経歴は、久留米と福岡県政、さらに福岡6区の国政が切り離せないことを示しています。

関連記事:久留米の政治|市長・県議・国会議員と選挙の構図を整理

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