久留米市が、次に小学校統合を検討する学校と、その優先順位を初めて具体的に示しました。
最優先は、2028年度に複式学級となる見込みの柴刈小学校と金島小学校、そして中心市街地にある荘島小学校です。続いて、2032年度に複式学級となる見込みの船越小学校、川会小学校、弓削小学校を優先するとしています。
しかし、これは単なる学校数の話ではありません。
久留米市では人口が30万人を割り、市立小学校の入学者は今後6年ほどで2割以上減る見込みです。
今回の久留米市が示したのは、「少子化で学校が減るかもしれない」という一般論ではありません。どの学校から統合の検討を始めるのか、その順番です。
対象となった15校と優先順位を見ると、旧町部だけでなく中心市街地でも、児童数の減少と校舎の老朽化が学校再編を迫っていることが分かります。
最優先は柴刈小・金島小・荘島小
久留米市教育委員会が2026年9月2日に公表した資料では、2032年度時点の学校規模と校舎の築年数をもとに、統合の検討対象校と優先順位を示しています。
最優先とされた3校と、次に優先される3校は次のとおりです。
| 優先度 | 学校 | エリア | 2026年度から2032年度の推計 | 優先する理由 |
|---|---|---|---|---|
| 最優先 | 柴刈小 | 田主丸 | 63人・6学級 → 47人・5学級 | 2028年度に複式学級となる見込み |
| 最優先 | 金島小 | 北野 | 72人・6学級 → 46人・5学級 | 2028年度に複式学級となる見込み |
| 最優先 | 荘島小 | 江南 | 128人・6学級 → 117人・6学級 | 小規模校で最も古く、2032年度に最古の校舎が築79年 |
| 優先 | 船越小 | 田主丸 | 76人・6学級 → 66人・5学級 | 2032年度に複式学級となる見込み |
| 優先 | 川会小 | 田主丸 | 93人・6学級 → 62人・5学級 | 2032年度に複式学級となる見込み |
| 優先 | 弓削小 | 北野 | 109人・6学級 → 66人・5学級 | 2032年度に複式学級となる見込み |
複式学級とは、隣り合う二つの学年を一つの学級として編制するものです。久留米市の資料では、通常学級が6~11学級の学校を「小規模校」、複式学級が生じる5学級以下の学校を「過小規模校」としています。
ここで注意したいのは、今回示されたのはあくまで統合を検討する順番だという点です。6校の廃校や統合時期、統合相手が決定したわけではありません。
市も、複式学級が見込まれる年度を踏まえて、今後、統合の決定時期や実施時期を検討するとしています。
一次資料:小学校統合の検討優先順位、学校規模・校舎最長築年数一覧表
統合の検討対象は15校 京町小も含まれる
2032年度時点で統合の検討対象になると見込まれているのは、小規模校10校と過小規模校5校の計15校です。
小規模校となる見込みの10校
- 荘島小学校
- 小森野小学校
- 長門石小学校
- 京町小学校
- 田主丸小学校
- 竹野小学校
- 水縄小学校
- 水分小学校
- 大城小学校
- 西牟田小学校
過小規模校となる見込みの5校
- 柴刈小学校
- 金島小学校
- 船越小学校
- 川会小学校
- 弓削小学校
15校のなかには、2026年度時点では標準規模に入る小森野小、長門石小、京町小、西牟田小も含まれています。現在の規模だけを見るのではなく、6年後までの児童数を先回りして対象にした形です。
また、市が示した「検討対象エリア」は、統合相手を決めた一覧ではありません。検討対象校の区域と、原則として同じ中学校へ進学する小学校の区域をまとめ、協議する範囲を示したものです。
一次資料:小学校統合の検討対象校と検討対象エリア
田主丸では7小学校すべてが検討対象になる
資料のなかで最も大きな再編が予想されるのは田主丸エリアです。
船越、水縄、田主丸、竹野、川会、水分、柴刈の7小学校があり、2032年度には7校すべてが小規模校または過小規模校となる見込みです。
これは、規模の小さな1校を近隣の大きな学校へ統合すれば終わる問題ではありません。エリア内に、統合先としてそのまま残せる標準規模校が一つもないからです。
どの校舎を拠点にするのか。何校にまとめるのか。遠距離通学をどう支えるのか。学校がなくなる校区の地域活動をどう維持するのか。
田主丸では、一つの学校の存廃ではなく、地域全体の学校配置を引き直す議論になります。
北野エリアでも、北野小を除く大城、金島、弓削の3校が検討対象です。今回の資料が示したのは、旧町部の学校統合が個別対応から面的な再編へ移る可能性です。
久留米の人口は減る しかし、子どもはさらに速く減る
久留米市の人口減少は、すでに将来予測ではなく現実になっています。
住民基本台帳上の総人口は2016年度の30万6,211人をピークに減少し、2025年2月には2005年の広域合併後、初めて30万人を下回りました。
市の独自推計では、総人口は2025年の30万199人から、2030年に29万4,044人、2060年には24万1,654人になる見込みです。市が出生率や若年層の移動を改善できたと仮定した場合でも、2060年の展望は25万3,680人です。
つまり、市自身も30万人を維持できるとは見込んでいません。しかも、小学校に入る世代は総人口より速いペースで減っていきます。
学校は、その変化が最も早く表れる場所です。
久留米市立小学校の入学者数は2020年度以降減少しており、2031年度と2032年度の入学予定者は約2,000人です。2026年度と比べて2割以上少なくなると推計されています。
総人口が緩やかに減る段階でも、出生数の減少は数年後にそのまま新入学児童数へ表れます。そのため、人口減少の影響は小学校の学級数や学校規模に先に表れ、統合の検討が具体化します。
一次資料:久留米市全体の児童数の状況、第3期久留米市地方創生総合戦略
荘島小が最優先に入ったのはなぜか
最優先となった3校でも、理由は同じではありません。
柴刈小と金島小は、2028年度に複式学級となる見込みであることが理由です。一方、荘島小は2032年度も117人・6学級と推計され、複式学級になる学校ではありません。
それでも荘島小が最優先に入ったのは、小規模校のなかで校舎が最も古いためです。最古の校舎は2026年度時点で築73年、2032年度には築79年になります。
荘島小の児童数は、2026年度の128人から2032年度の117人へ減る見込みです。減少幅は11人にとどまりますが、少ない児童数のために古い校舎を更新するのか、別の学校との統合を検討するのかという判断が必要になります。
これは、今後の学校統合が児童数だけでは決まらないことを示しています。
子どもの減少と校舎の老朽化が重なったとき、どの学校から再編するのか。
中心市街地の荘島小が最優先に入ったことで、学校再編は田主丸や北野など旧町部だけの問題ではないことも明確になりました。
久留米の学校統合は、すでに連続している
久留米市では、学校統合がすでに段階的に進んでいます。
- 2021年4月:下田小・浮島小を城島小へ統合
- 2025年4月:青峰小を高良内小へ統合
- 2026年4月:大橋小を善導寺小へ統合
- 2027年4月:江上小・青木小を城島小へ統合予定
- 2032年4月:山本小・草野小・善導寺小・旧大橋小校区と屏水中を再編し、義務教育学校の開校を目指す
これまでは個別の学校やエリアごとに計画が示されてきました。2026年度資料の大きな変化は、その先にある15校を全市的な一覧にし、最優先3校と次に優先する3校まで示したことです。
点で進んでいた統合が、久留米市全体の学校配置を組み替える段階へ入ったと見るべきです。
関連資料:久留米市立小学校の小規模化への対応、屏水中学校区の義務教育学校新設基本計画
統合で変わるのは学校名だけではない
小学校は、子どもが授業を受ける建物であるだけではありません。
統合によって通学距離や通学手段、学童保育、校区行事、地域コミュニティの範囲が変わります。学校施設を使わなくなれば、跡地の活用や地域活動の場所、防災機能をどう引き継ぐかも課題になります。
だからこそ、学校統合は教育委員会だけで完結する話ではありません。通学手段、公共交通、防災、跡地利用、地域コミュニティまで含めて説明する必要があります。
今回、市は統合を検討する学校の順番を初めて示しました。
次に示すべきなのは、統合相手と実施時期だけではありません。遠距離通学をどう支えるのか、使わなくなる校舎や体育館をどうするのか、学校がなくなる地域の活動と防災機能をどこへ引き継ぐのかという具体策です。
児童数が減るなか、すべての小学校を現在の形で維持することは難しくなっています。しかし、学校数を減らせば問題が解決するわけでもありません。
問われているのは、何校を統合するかだけではなく、子どもの学習環境と安全な通学をどう守り、学校が担ってきた地域の機能をどう引き継ぐのかです。
今回初めて示された優先順位は、その議論の出発点です。今後は、まず柴刈小、金島小、荘島小について、統合の可否や相手校、実施時期などが優先的に検討されることになります。
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