「ニナファーム やばい」と検索すると、「良い意味でやばい」「製品の品質がすごい」と結論づける記事が目立ちます。
しかし、検索している人が知りたいのは、商品の宣伝文句ではないはずです。
ニナファームジャポンはどのような仕組みで会員を増やしているのか。フランスのニナファームとはどのような関係なのか。パスツール研究所や大阪・関西万博の名前は、何を証明しているのか。そして、なぜ久留米で大きな大会やセミナーが続いているのか。
久留米ジャーナルは、会社の公式サイト、消費者庁、久留米シティプラザ、業界紙、フランス館の公式発表、フランス経済誌の調査報道などを照合しました。
先に結論を述べます。
ニナファームジャポンは、商品を介した連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法(MLM)を行う会社です。違法な無限連鎖講、いわゆる「ねずみ講」と同じものではありません。また、今回確認した消費者庁の公表データでは、直近の行政処分も確認できませんでした。
それでも「やばい」と警戒される理由はあります。
問題の核心は、単にMLMだからではありません。フランス、パスツール研究所、世界的企業、大阪・関西万博といった権威ある名前が、一続きの「信用の物語」として語られる一方、それぞれの関係を分けて調べると、少なくともパスツール研究所との関係について、説明と第三者の回答に重大な食い違いが見つかることです。
- ニナファームジャポンとは何か
- 「やばい」と言われる理由1|ノルマなしでも、報酬には毎月の購入が必要
- 「やばい」と言われる理由2|フランス法人と日本法人の境界が分かりにくい
- 「やばい」と言われる理由3|パスツール研究所をめぐる説明に食い違いがある
- 大阪・関西万博のゴールドパートナーは事実|ただし何の証明なのか
- なぜ久留米なのか|認定第1号サロンから大規模大会へ
- 久留米で確認できる主な人物
- 行政処分が見つからないことも、正確に伝える必要がある
- 「良い意味でやばい」という記事が見落とすもの
- 勧誘されたときに確認したい7項目
- 本当に「やばい」のは、別々の事実が一つの信用に変わること
- マルチ商法で作られた人間関係は、別の勧誘にも使われるのか
ニナファームジャポンとは何か
ニナファームジャポンの会社概要によると、同社は2003年7月に設立され、化粧品や健康食品の企画・製造・販売を行っています。2026年3月期の売上高は、業界紙の報道で102億5,000万円です。
会社自身も、同社のネットワークビジネスが特定商取引法上の「連鎖販売取引」に当たると明記しています。
現在公開されている全国直販流通協会の会社紹介資料には、2025年3月期の売上高98億2,000万円、販売員数48万人とあります。ただし、48万人は累計会員数です。
現在も商品を購入している会員、勧誘活動をしている会員、報酬を受け取っている会員が48万人いる、という意味ではありません。現役会員数や退会者を除いた人数は、公開資料から確認できませんでした。
会社の売上高や累計会員数が大きいことと、一人ひとりの会員が利益を得ていることも別です。
「やばい」と言われる理由1|ノルマなしでも、報酬には毎月の購入が必要
公式のビジネス説明には、「商品の購入や販売に関して一切ノルマがありません」と書かれています。
一方、公式のコンプライアンス説明には、勧誘時に必ず伝える事項として、ボーナスを得るためには毎月1万ポイント以上の購入が必要だと明記されています。
この二つは、表面上は矛盾しません。
定期購入は申し出によって停止できます。購入をやめたからといって、会社から商品購入を強制されるわけではありません。しかし、ボーナスを得る資格を維持したい会員にとっては、毎月の購入が実質的な条件になります。
主力商品の「サンテアージュ OX-288」は、会員価格1万3,800円で1万ポイントです。通常の配送手数料1,000円を含め、毎月1本を購入する例なら月1万4,800円、1年間で17万7,600円になります。
これはすべての会員に強制される「年間最低負担」ではありません。あくまで、同商品で毎月1万ポイントを維持する場合の単純計算です。
さらに、登録時には「1点登録」と「3点登録」があります。3点登録は3人を登録するという意味ではなく、本人の本店とその下の二つの支店、合計三つの配置を持つ仕組みです。会社の説明では、新規登録時に三つの配置分の商品購入が必要です。
重要なのは、受け取ったボーナスの額だけではありません。
商品代、送料、セミナー参加費、交通費、会場費などを差し引いた後に、いくら残るのかです。ニナファームジャポンは9種類のボーナスを公開していますが、会員全体の収入分布や、利益を得た会員の割合は公開していません。
「やばい」と言われる理由2|フランス法人と日本法人の境界が分かりにくい
フランスのNINAPHARMと株式会社ニナファームジャポンは、同一の法人ではありません。
しかし、「別法人だから無関係」とするのも正確ではありません。
日本法人の公式サイトは、会社概要の「研究所」欄にフランスのNINAPHARMを掲載し、フランス側の研究成果を日本向け商品に生かしていると説明しています。フランス館の万博協賛に関する公式発表にも、フランス側と日本法人の関係者が並んで登場します。
フランス側の公式サイトも、日本市場を同社の技術や製品展開における特別な市場として説明しています。
したがって、公開資料から確認できる範囲では、両者には事業上のつながりがあります。ただし、株式の保有関係、商標や技術のライセンス契約、原料供給契約の具体的な内容までは公開資料で確認できません。
正確な表現は、次の通りです。
フランスのニナファームと日本のニナファームジャポンは別法人だが、事業上の関係は確認できる。ただし、資本関係や契約内容の詳細は公開資料では分からない。
「フランス本社の日本法人」と単純に説明することも、「名前が同じだけで関係がない」と説明することも、現時点の資料だけではできません。
「やばい」と言われる理由3|パスツール研究所をめぐる説明に食い違いがある
最大の論点は、パスツール研究所との関係です。
ニナファームジャポンの研究開発ページは、パスツール研究所を「共同研究・プロジェクト実施」「リサーチプロジェクトサポート」の欄に掲載しています。
別の実績紹介ページにも、世界抗酸化学会、フランス抗酸化協会、パスツール研究所とともに、学会やイベントを通じて抗酸化分野の発展に貢献しているという趣旨の説明があります。
ところが、『Challenges』の2025年4月23日付調査報道では、パスツール研究所はニナファームとの契約関係を否定しています。
同誌によると、パスツール研究所は、ニナファームによる研究所名の不適切な使用を理由に2017年に警告していました。
さらに同誌は、ニナファームの説明会でパスツール研究所との近い関係や、有名企業との取引関係が強調されていたという参加者の証言を掲載しています。取材を受けたLVMHとMerckは、ニナファームを供給業者として確認できなかったと回答しています。ニナファームは同誌の取材に回答しませんでした。
ここで注意が必要です。
『Challenges』の記事は調査報道であり、警告書そのものや全契約書が公開されたわけではありません。日本の行政機関や裁判所が虚偽表示を認定した事案でもありません。
一方で、日本法人の公式サイトが現在もパスツール研究所を研究・プロジェクト関係の欄に掲載していることと、研究所側が契約関係を否定し、名称使用を警告したとする報道が存在することは、両方とも確認できます。
したがって、勧誘やセミナーで「パスツール研究所と共同研究している」「正式な提携先である」と説明された場合は、口頭説明をそのまま信じるのではなく、現在有効な契約書、研究テーマ、研究期間、共同研究者、論文などの提示を求めるべきです。
大阪・関西万博のゴールドパートナーは事実|ただし何の証明なのか
フランスのニナファームが、2025年大阪・関西万博のフランスパビリオンでゴールドパートナーになったことは事実です。フランス館の公式サイトにも協賛契約の発表があります。
ただし、協賛したのはフランスのNINAPHARMです。
万博への協賛は、商品に医学的効果があること、パスツール研究所と契約していること、日本の会員が利益を得られることを認定する制度ではありません。ゴールドパートナーという肩書は、あくまでフランスパビリオンへの協賛実績です。
その実績が日本の会員活動と無関係だったわけでもありません。
日本流通産業新聞によると、ニナファームジャポンは2025年6月、フランス側の万博出展を記念し、会員ら約120人が参加するセミナーを万博会場で開きました。同社の2026年3月期業績を伝える記事も、万博イベント、新規事業説明会、会員向けトレーニングを当期の活動として紹介しています。
つまり、フランス法人の万博協賛が、日本法人の会員向けイベントや事業活動の材料として活用されていたことは確認できます。
問題は万博に出展したことではありません。協賛実績が、研究の正しさ、商品の効果、ビジネスの収益性まで保証しているかのように受け取られることです。
なぜ久留米なのか|認定第1号サロンから大規模大会へ
ニナファームは、久留米にとって無関係な全国企業ではありません。
久留米は、同社の初期から会員活動の拠点となった街です。
月刊『ネットワークビジネス』2010年1月号の公開検索抜粋によると、久留米市の川原英樹氏は2006年11月に登録し、2009年5月1日にニナファーム認定第1号サロンを開設しました。
このサロンにはセミナールームがあり、商品体験だけでなく、会員の説明会、リーダー会議、ミーティングにも使われていました。つまり、久留米では早い段階から、商品を売る場所と会員を育てる場所が一体化していたことになります。
その後、会員組織「MAD」の活動が確認できるようになります。
| 年月日 | 久留米で確認できる動き |
|---|---|
| 2009年5月1日 | ニナファーム認定第1号サロンが久留米で開設 |
| 2025年9月23日 | 久留米シティプラザ・ザ・グランドホールで「ニナファーム MADコンベンション2025」 |
| 2026年9月12日 | 同ホールで「MAD GROOPコンベンション2026」。会場公式記録の主催者はニナファームジャポン |
| 2026年10月4日 | 久留米百年公園リサーチセンタービルで「久留米スペシャルセミナー」 |
2025年大会の施工記録には、レーザー、照明、映像を組み合わせた大規模な演出が紹介されています。2026年大会の久留米シティプラザ公式記録では、ザ・グランドホールで開催され、株式会社ニナファームジャポンが主催者として記載されています。
これらの記録から分かるのは、久留米での活動が一人の会員による小規模な勧誘にとどまらず、少なくとも17年にわたり、サロン、説明会、会員組織、大規模大会へと続いてきたことです。
ただし、久留米市内の会員数、全国に占める割合、MAD所属者数は公表されていません。「久留米には何千人いる」などと人数を推測することはできません。
久留米で確認できる主な人物
川原英樹氏
当時の業界誌によると、家業の酒屋を約20年間経営し、2006年11月にニナファームへ登録しました。2009年に久留米で認定第1号サロンを開設し、妻の喜代美氏が日常運営を担ったと紹介されています。
2017年の二次資料には「MADグループ代表」とありますが、MADの設立者であることや設立時期を示す一次資料は確認できませんでした。2026年10月の福岡支店の公開告知では、ビジネストレーニングの担当者として掲載されています。
幸若直樹氏
久留米大学法学部同窓会報によると、1998年卒業で、男子ラクロス部の創設者です。本人は現在、3社の代表取締役社長を務めると説明しています。
2017年の紹介記事には、22歳ごろに外資系MLMへ参加し、最高タイトルに達した後、2007年にニナファームへ登録したとする経歴があります。ただし、以前所属していた会社名は書かれていません。
前間俊子氏
月刊『ネットワークビジネス』2025年3月号の目次では、ニナファームジャポンのリーダーとして掲載されています。2026年10月4日の久留米スペシャルセミナーでは、公開告知上の主催者です。
一方、MADへの所属、川原氏や幸若氏との紹介系列、他社MLMでの活動歴は確認できませんでした。
人物の肩書や成功談だけでは、誰が誰を紹介したのか、どの報酬系列に属するのか、実際にどれだけ利益を得たのかは分かりません。
行政処分が見つからないことも、正確に伝える必要がある
客観的に検証するなら、批判に都合のよい情報だけを並べるべきではありません。
消費者庁の特定商取引法ガイド・執行事例検索で、2021年度から2026年度までを「ニナファーム」で確認した範囲では、同社に対する行政処分は見つかりませんでした。
会社はコンプライアンスページを設け、勧誘目的の明示、概要書面の交付、ボーナス条件、クーリングオフなどを説明しています。過剰購入を勧める行為も禁止しています。
ただし、執行事例の検索には原則5年間の掲載期間があります。公表処分が見つからないことは、過去を含めて苦情やトラブルが一度もなかったことの証明ではありません。
また、制度が合法であること、会社がコンプライアンス規定を設けていること、個々の会員が現場で適切に説明していることは、それぞれ別です。
「良い意味でやばい」という記事が見落とすもの
「ニナファーム やばい」と検索すると、GoogleのAIによる概要は、サンテアージュ OX-288などについて「成分や効果がすごすぎるという驚きや高評価の口コミも多く寄せられています」と表示しました。
しかし、Googleが商品の効果を調査・認定したわけではありません。検索結果を確認すると、「ニナファーム やばい」という不安を示す検索語を見出しに使いながら、本文では「良い意味でやばい」「製品力が高すぎる」と反転させる記事が複数掲載されています。その中には、企業から取材費や商品提供、掲載対価を受けたことを明記した記事もあります。
「高評価の口コミがある」ということと、「商品の効果が客観的に確認されている」ということは別です。さらに「多い」というなら、何件中何件なのか、販売会員を含むのか、どの期間・媒体を調べたのかを示す必要があります。Google AIの文章には、その根拠が示されていません。
これは、同じ筋書きの肯定記事が検索上で繰り返され、その反復をAIが「多数の評価」のように要約することで、宣伝的な主張が第三者による評価のように見えてしまう事例です。
「ニナファーム やばい」と検索した人を、最終的に商品やビジネスの肯定へ誘導する記事では、次のような説明が繰り返されます。
- フランス発の研究企業である
- パスツール研究所などと関係がある
- 大阪・関西万博のゴールドパートナーである
- 会員数や売上高が大きい
- 商品購入や販売のノルマがない
- 商品が良い意味でやばい
これらは、言葉の一部だけを見れば完全な虚偽とは限りません。
しかし、確認すべきなのは、その次です。
- パスツール研究所との現在の契約書はあるのか
- 「共同研究」とは、いつ、誰が、何を研究したのか
- 万博に協賛したのはフランス法人か、日本法人か
- 累計会員数のうち、現在活動しているのは何人か
- ボーナスを得るための毎月の購入条件はいくらか
- 商品代や活動費を引いた後、利益が残った会員は何%か
- 商品のどこが良い意味でやばいのか科学的な根拠はあるのか
宣伝で示される大きな数字や有名な名前から、商品の効果や自分の収益を直接導くことはできません。
【例】
| 表現 | 実際に確認すべきこと |
|---|---|
| 「抗酸化・エイジングケアを掲げる」 | 会社が掲げている商品コンセプトであり、効果が科学的に証明されたという意味ではありません。 |
| 「実際の愛用者」 | 購入者なのか、販売会員なのか、商品提供を受けた人なのかが示されていません。 |
| 「成分や効果がすごすぎる」 | 個人の感想です。「効果が確認された」という客観的事実にはなりません。 |
| 「高評価の口コミも多い」 | 件数、調査期間、母数、評価基準、投稿者の利害関係が示されていないため、「多い」を検証できません。 |
勧誘されたときに確認したい7項目
ニナファームの会員登録やビジネス参加を勧められた場合は、少なくとも次の点を文書で確認してください。
- 毎月1万ポイント以上の購入をしない場合、受け取れなくなるボーナスは何か
- 1点登録と3点登録で、初回費用と毎月の維持費はいくら違うか
- 同じ条件で始めた会員のうち、商品代と活動費を超える利益を得た割合は何%か
- 説明で使われた研究機関や企業との現在有効な契約書はあるか
- フランス法人の実績と日本法人の実績を分けた説明になっているか
- 万博への協賛が、商品効果や会員収入の証明になる根拠はあるか
- 概要書面、契約書面、20日間のクーリングオフについて事前に説明されたか
連鎖販売取引は、法律で決められた書面を受け取った日、または商品の引き渡しを受けた日のうち遅い方から20日以内であれば、原則としてクーリングオフができます。期間を過ぎても中途解約できる場合があります。困った場合は、消費者ホットライン「188」へ相談できます。
本当に「やばい」のは、別々の事実が一つの信用に変わること
ニナファームジャポンを、根拠なく「違法企業」「ねずみ講」と断定することはできません。直近の公表行政処分も確認できませんでした。
一方で、安心だと結論づけることもできません。
フランスの研究企業、パスツール研究所、世界的企業との取引を示唆する説明、大阪・関西万博のゴールドパートナー、100億円を超える売上、48万人の累計会員。
一つひとつは意味の異なる情報です。
万博への協賛は研究成果の認定ではありません。会社の売上は会員の利益ではありません。累計会員数は現役会員数ではありません。学会への参加や施設訪問は共同研究契約と同じではありません。フランス法人の実績は、そのまま日本法人や久留米の会員個人の実績になるものでもありません。
それらが区別されないまま一続きに語られると、「世界的な研究に裏付けられた会社だから、商品も間違いなく、自分も成功できる」という印象が生まれます。
パスツール研究所が契約関係を否定し、2017年に名称使用を警告したとするフランス誌の報道は、その信用の組み立て方を検証するうえで無視できない事実です。
そして久留米は、2009年の認定第1号サロンから、2025年、2026年の大規模大会まで、その会員活動が長く続いてきた街です。
だからこそ、「ニナファームはやばいのか」という問いに、肯定記事の宣伝文句でも、根拠のない悪評でもなく、確認できる事実で答える必要があります。
マルチ商法で作られた人間関係は、別の勧誘にも使われるのか
もちろん、ニナファームの勧誘と闇バイトを直接結びつける根拠はありません。
ただし、友人や知人との信頼関係を入口にして、詳しい内容を説明する前に「良い商品がある」「稼げる話がある」と参加を促す構造には、注意すべき共通点があります。
久留米では、過去にマルチ商法に関わっていた人物から、仕事内容を明かされないまま「1日5万円」と持ちかけられた事例も確認しています。マルチ商法で形成された人のつながりが、別の勧誘に利用される可能性については、次の記事で検証しています。


