福岡県久留米市大善寺町に鎮座する 大善寺玉垂宮(だいぜんじ たまたれぐう)。
この神社は筑後地方を代表する古社の一つであり、古代豪族 水沼君(みぬまのきみ) の氏神として崇敬されたと伝えられています。
また祭神である 玉垂命(たまたれのみこと) は、筑後国一宮として知られる高良大社の主神「高良玉垂命」と同一神とされることが多く、古代筑後の信仰を考えるうえで欠かせない存在です。
さらに興味深いことに、大善寺玉垂宮のすぐ前には御塚・権現塚古墳があり、この地域が古代豪族の拠点であった可能性も指摘されています。
大善寺玉垂宮・御塚古墳・高良大社は、古代筑後の政治と信仰を考える上で密接に関係する場所です。
今回は、そんな大善寺玉垂宮について
- 歴史
- ご祭神
- 水沼君との関係
- 高良大社とのつながり
- 日本三大火祭り「鬼夜」
まで、わかりやすく解説します。
基本情報
社名:大善寺玉垂宮
所在地:福岡県久留米市大善寺町宮本1463-1→MAP
主祭神:玉垂命(たまたれのみこと)
例祭:鬼夜(毎年1月7日)

玉垂宮の由緒とご祭神
主祭神は
玉垂命(たまたれのみこと)
です。
この神は『筑後国風土記』にも登場し、久留米市御井町の筑後国一宮・高良大社の主神「高良玉垂命」と同一神と考えられることが多い神です。
古くから
- 武神
- 五穀豊穣の神
- 厄除けの神
として信仰されてきました。
創建年代は明確ではありませんが、少なくとも奈良時代以前には存在していたと考えられています。
古代史の視点から見る玉垂宮
大善寺玉垂宮は、単なる地域神社ではありません。
古代筑後の政治構造を考える上で重要な場所とされています。
この周辺には
- 水沼氏の政庁跡
- 大善寺古墳群
- 御塚・権現塚古墳
などが集中しています。
つまりこの地域は、古代筑後における政治・信仰の中心であった可能性があります。
北部九州には古代
- 筑紫君
- 肥君
- 豊君
- 水沼君
などの豪族が存在し、それぞれが地域を支配していました。
玉垂宮は、こうした豪族連合の精神的中心であった可能性も考えられています。
水沼君との関係
古代筑後を支配した豪族の一つが
水沼君(みぬまのきみ)
です。
水沼氏は筑後南部から久留米一帯に勢力を持った豪族で、古代の行政区画「水沼県」を治めていました。
その拠点とされるのが現在の久留米市大善寺町周辺です。
大善寺玉垂宮は、その水沼氏の氏神として信仰されていたと考えられています。
また神社のすぐ近くには、古墳時代の巨大古墳
御塚・権現塚古墳
があります。

この古墳は、水沼氏一族の墓である可能性が指摘されており、大善寺地域が古代豪族の拠点であったことを物語っています。
現地を歩くと、神社と古墳が驚くほど近い位置関係にあることがよく分かります。
高良大社との関係
玉垂宮の祭神「玉垂命」は、高良大社の主神・高良玉垂命と同神とされることが多い神です。
そのため古代には
玉垂宮が筑後信仰の中心だった可能性
も指摘されています。
一説では「高良の神は、もともと大善寺に鎮座し、のちに高良山へ遷座した」という伝承も残っています。
もしこれが事実であれば
大善寺玉垂宮 → 高良大社
という信仰の中心移動が起きたことになります。
筑後の古代史を考えるうえで、非常に興味深いテーマです。
玉垂命を主神とする高良大社は、筑後国一宮として知られる神社です。
古代には玉垂宮から高良山へ信仰の中心が移ったとも言われており、両社の関係は筑後の古代史を考える上でも非常に興味深いテーマです。
大善寺玉垂宮の歴史年表
| 時期 | 出来事 |
|---|
| 古墳時代 | 水沼氏が筑後一帯を支配。 |
| 奈良時代 | 玉垂宮の創建。 |
| 平安時代 | 高良信仰成立 |
| 鎌倉時代 | 地域総鎮守として整備 |
| 江戸時代 | 鬼夜が藩公認行事 |
| 現代 | 国重要無形民俗文化財 |
玉垂宮の祭り 「鬼夜」

大善寺玉垂宮といえば
鬼夜(おによ)
が有名です。
毎年1月7日に行われるこの祭りは
日本三大火祭り
の一つとされ、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
境内では
- 長さ13m
- 重さ1.2トン
の巨大松明が燃え上がり、境内は圧巻の炎に包まれます。
この火祭りは
鬼=祖霊
火=浄化
という古代信仰を今に伝える祭礼と考えられています。
現在の大善寺玉垂宮(写真)
次に、現在の大善寺玉垂宮の様子を写真で紹介します。
一の鳥居

二の鳥居

手水舎

本殿・拝殿

狛犬


賽銭箱(有馬家の家紋)

ご神木


境内の碑





まとめ
久留米市大善寺町に鎮座する 大善寺玉垂宮。
その歴史をたどると
- 水沼君
- 御塚・権現塚古墳
- 高良大社
といった古代筑後の重要史跡と深く結びついていることが見えてきます。
現在は静かな神社ですが、その背後には古代筑後の政治と信仰の中心地という壮大な歴史が眠っているのかもしれません。
玉垂宮は、久留米の神社巡りの中でも特に古い歴史を持つ神社の一つです。高良大社をはじめ、地域の信仰とともに歩んできた神社を巡ると、この土地の歴史がより立体的に見えてきます。
久留米ジャーナルでは、実際に歩いて取材した神社を紹介しています。


