2026年10月3日、自民党福岡県連は、古賀篤会長の就任後初となる執行部会を開きました。
そこで示されたのが、2027年春の福岡県議選に向け、当選3回以下の県議から公認手続きを優先して進める方針です。
古賀会長は、県議会をめぐる金銭授受問題が続いていることに触れたうえで、「3期生以下を優先」に公認手続きへ入る考えを明らかにしました。
では、対象となる県議は誰なのでしょうか。
自民党福岡県連が掲載している党所属県議と、福岡県議会が公表する当選回数を照合すると、1期6人、2期8人、3期4人の計18人です。
ただし、ここでは「自民党所属」と「自民党県議団所属」を分けて見る必要があります。
1期の林泰輔氏は、自民党所属のまま県議団を離脱しています。一方、同じ1期の横尾政則氏は、自民党県議団に所属していますが、選挙では無所属で当選し、県連の党所属県議一覧にも掲載されていません。
この記事では、古賀会長が優先するとした3期生以下の18人を整理し、公認をめぐる今後の焦点を確認します。
古賀篤会長が「3期生以下」の公認を優先すると表明
自民党福岡県連では、福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑を受け、2027年県議選の公認作業が止まっていました。
党本部は2026年8月、県連側に対して、このままでは現職県議に公認を出せないとの厳しい姿勢を伝えています。
その後、松本國寛県連会長が辞任し、9月27日に古賀篤氏が新しい県連会長に就任しました。国会議員が福岡県連会長を務めるのは11年ぶりです。
10月3日の執行部会では、公認を希望する県議への確認方法などを協議しました。
報道によると、県連は3期生以下の県議から聞き取りを行い、問題への関与を確認したうえで、公認の可否を優先的に判断します。県連独自の調査も行い、金銭授受問題への関与については全県議から聞き取る方針です。
したがって、今回決まったのは「3期生以下を公認する」という結論ではありません。
あくまで、3期生以下から審査を始め、公認できる県議を先に判断するという手続き上の優先順位です。
なぜ3期生以下からなのか
今回の問題は、福岡県議会の議長、副議長に就く際、多額の金銭を要求されたという証言から始まりました。
3期生以下には正副議長経験者がいません。金銭授受への関与が比較的薄いとみられる県議から確認を進め、選挙準備の遅れを抑える狙いがあります。
県議選の公認は、選挙ポスターや党の支援体制だけでなく、候補者が「自民党公認」を名乗れるかどうかに関わります。2027年春の統一地方選まで約半年となるなか、県連としても全員の判断を調査終了まで止め続けることは難しくなっています。
一方で、当選回数が少ないことだけで、問題と無関係だと確認されたわけではありません。
県連は本人への聞き取りなどを行うとしており、3期生以下にも説明と確認を求めたうえで判断します。
正副議長ポストをめぐる証言と、誰が誰にいくら渡したとされているのかは、福岡県議会の金銭授受疑惑を整理した記事で詳しくまとめています。
公認手続きが優先される3期生以下の県議18人
以下は、自民党福岡県連の党所属県議一覧と、福岡県議会の公式プロフィールを2026年10月4日時点で照合したものです。
1期の県議は6人
| 氏名 | 選挙区 | 現在の会派 |
|---|---|---|
| 佐藤楓 | 北九州市小倉南区 | 自民党県議団 |
| 宮川宗一郎 | 福岡市城南区 | 自民党県議団 |
| 波多江祐介 | 筑紫野市 | 自民党県議団 |
| 小緑貴吏 | 北九州市戸畑区 | 自民党県議団 |
| 宮原伸一 | 太宰府市 | 自民党県議団 |
| 林泰輔 | 朝倉市・朝倉郡 | 一沐会 |
1期生のうち、林泰輔氏だけは現在、自民党県議団に所属していません。
林氏は、SNSの匿名アカウントを使って、金銭授受疑惑を告発した吉松源昭氏や、吉松氏を支持する投稿に対して攻撃的、批判的な書き込みを繰り返していた問題で、自民党県議団から5か月間の会員資格停止処分を受けました。その後、県議団を離脱し、一人会派「一沐会」を結成しています。
吉松氏は、中村明彦氏と2人会派「自由と繁栄の会」を組み、県議会の金銭授受問題を追及してきました。中村氏と蔵内勇夫氏の長年の対立、そこに吉松氏の告発がどう重なったのかは、中村明彦と蔵内勇夫の確執とは|吉松源昭と組む11期県議で整理しています。
自民党福岡県連の党所属県議一覧には現在も掲載されており、古賀会長も林氏について処分を含めて検討する方針を示しています。
当選回数では優先対象に入りますが、ほかの1期生と同じ手順で公認されるとは限りません。
2期の県議は8人
| 氏名 | 選挙区 | 現在の会派 |
|---|---|---|
| 花田尚彦 | 宮若市・鞍手郡 | 自民党県議団 |
| 高橋義彦 | 飯塚市・嘉穂郡 | 自民党県議団 |
| 永川俊彦 | 大牟田市 | 自民党県議団 |
| 笠和彦 | 福岡市中央区 | 自民党県議団 |
| 吉田健一朗 | 古賀市 | 自民党県議団 |
| 井上正文 | 宗像市 | 自民党県議団 |
| 大田満 | 福岡市早良区 | 自民党県議団 |
| 吉田浩一 | 福津市 | 自民党県議団 |
筑後地方から入るのは、大牟田市選出の永川俊彦氏です。
関連記事:永川俊彦とは何者か?
永川氏は2019年に初当選し、2023年は大橋克己氏とともに無投票で2回目の当選を決めました。筑後地方の県議全体における当選回数や会派は、筑後地方の現職県議一覧で確認できます。
3期の県議は4人
| 氏名 | 選挙区 | 現在の会派 |
|---|---|---|
| 江頭祥一 | 嘉麻市 | 自民党県議団 |
| 渡辺勝将 | 那珂川市 | 自民党県議団 |
| 浦伊三夫 | 糸島市 | 自民党県議団 |
| 井上博行 | 福岡市博多区 | 自民党県議団 |
3期生の渡辺勝将氏は、現在の自民党県議団会長です。
このため、「3期生以下」は単に役職を持たない若手だけを指す区分ではありません。県議団を代表する渡辺氏も、当選回数では先行審査の対象に入ります。
横尾政則氏はなぜ18人に入らないのか
小郡市・三井郡選出の横尾政則氏も1期で、県議会では自民党県議団に所属しています。
しかし、横尾氏は2023年県議選に無所属で立候補しました。自民党福岡県連が当時公表した公認・推薦候補者一覧にも名前はなく、現在の県連公式サイトの党所属県議一覧にも掲載されていません。
公開資料上の横尾氏は、次のように整理できます。
- 選挙での党派は無所属
- 議会内の会派は自民党県議団
- 自民党福岡県連の党所属県議一覧には掲載されていない
政党への所属と、県議会内でどの会派に所属するかは別の問題です。
したがって、横尾氏を現在の「自民党所属県議」として18人に加えることはできません。
ただし、横尾氏が2027年県議選で自民党公認を申請すれば、1期県議として審査の対象になる可能性があります。この場合は、現職自民党県議の継続公認ではなく、無所属県議を新たに自民党公認候補とするかという判断になります。
横尾氏の経歴、鳩山邦夫・鳩山二郎両氏の秘書を務めた過去、井上忠敏氏との選挙は、横尾政則とは何者かで整理しています。
林泰輔氏は党所属だが、自民党県議団にはいない
横尾氏とは逆の位置にいるのが林泰輔氏です。
林氏は2023年県議選で自民党公認を受けて初当選し、県連の党所属県議一覧にも掲載されています。しかし、現在は自民党県議団を離れ、一人会派「一沐会」に所属しています。
つまり、両氏の立場は次のように対照的です。
| 県議 | 自民党への所属 | 県議会の会派 | 当選回数 |
|---|---|---|---|
| 林泰輔 | 県連の党所属県議一覧に掲載 | 一沐会 | 1回 |
| 横尾政則 | 県連の党所属県議一覧に掲載なし | 自民党県議団 | 1回 |
県議会の会派名簿だけを見ると横尾氏が入り、林氏が外れます。しかし、今回行われるのは自民党県連による選挙公認の審査です。
そのため、本記事では県連の党所属県議一覧を基準とし、林氏を18人に含め、横尾氏を別枠としました。
「3期生以下を優先」は問題なしという認定ではない
今回の線引きで注意したいのは、3期生以下が金銭授受問題と無関係だと認定されたわけではないことです。
KBCの報道では、「正副議長経験者がいない」との説明を付けたうえで、3期生以下を優先する古賀会長の発言を伝えています。一方、県連は金銭授受への関与について全県議から聞き取る方針です。
今回の優先順位は、正副議長経験のない県議から確認を終わらせ、問題がなければ選挙準備へ進ませるためのものです。
今後問われるのは、県連が何を確認し、どの基準で「公認できる」と判断したのかです。
- 金銭を要求した、または支払った事実の有無
- 正副議長選挙や県議団役員人事への関与
- 問題を把握した時期と、その後の対応
- 県連や第三者委員会への説明内容
- 再発防止策への姿勢
公認されたという結果だけでなく、その判断基準がどこまで公表されるかが重要です。
4期以上の県議は今後どうなるのか
3期生以下の公認手続きを先に進めれば、次に残るのは4期以上の中堅・ベテラン県議です。
4期以上だから問題に関与しているという意味ではありません。ただし、正副議長経験者や県議団、県連の主要役職を務めた県議が多くなるため、県連は3期生以下より慎重に確認するとみられます。
特に注目されるのは、正副議長経験者について、県連独自の調査と県議会の第三者委員会による調査のどちらを待つのかです。
第三者委員会の結論が2027年県議選の公認日程に間に合わなければ、県連は自ら集めた資料と本人への聞き取りによって判断しなければなりません。
この公認問題は、約11年間続いた県議中心の県連運営から、国会議員主導の体制へ移った最初の試金石でもあります。県連の主導権がなぜ国会議員側へ戻ったのかは、自民党福岡県連、県議中心から国会議員主導へで整理しています。
まとめ|18人の公認判断が県連再建の第一段階になる
古賀篤会長が公認手続きを優先するとした3期生以下の自民党所属県議は、1期6人、2期8人、3期4人の計18人です。
ここには、自民党県議団を離脱した林泰輔氏が含まれます。一方、無所属で自民党県議団に所属する横尾政則氏は、現在の党所属県議としては数えず、今後公認を申請するかを別に見る必要があります。
今回の方針によって、止まっていた公認作業は動き始めます。
しかし、3期生以下から先に審査することと、県議会問題の解明は別です。
公認を先に受ける18人について、どのような確認が行われたのか。4期以上の県議について、どこで線を引くのか。そして、正副議長経験者の公認を誰がどの資料に基づいて決めるのか。
古賀体制の評価は、公認者の名前だけでなく、その判断過程をどこまで県民に示せるかによって決まります。
