令和8年熊本地震では、久留米市でも震度5の強い揺れを観測しました。
これまで比較的大きな地震が少ない地域という印象を持たれることもあった久留米ですが、今回の地震によって、改めて地震への備えを意識した人も多いのではないでしょうか。
全国各地で大きな地震が相次ぐなか、「久留米市は大丈夫なのか」「南海トラフ地震が起きた場合、久留米にも影響はあるのか」と不安を感じる場面も増えています。
久留米市は、大雨や筑後川の氾濫など、水害の印象が強い地域です。そのため、地震への意識はやや薄くなりがちかもしれません。
しかし、久留米市が地震と無関係な地域というわけではありません。久留米市周辺には水縄活断層があります。
この記事では、久留米市で大地震が起こる可能性、南海トラフ地震の影響、久留米に関係する活断層、過去の地震の歴史、そして今からできる備えについて整理します。
久留米市で大地震は起こる可能性があるのか
結論からいえば、久留米市でも大地震が起こる可能性はあります。
もちろん、いつ起きるかを正確に予測することはできません。
福岡県は、県内の主要な活断層や南海トラフ地震を対象に、震度、建物被害、人的被害、ライフライン被害などの想定を公表しています。
その中には、久留米市に関係が深い水縄断層帯も含まれています。
久留米市で地震を考える場合、まず確認しておきたいのが、この水縄活断層です。
久留米市に関係が深い水縄活断層とは
水縄活断層は、福岡県うきは市方面から久留米市田主丸町を経て、久留米市合川町方面に至る活断層です。
全体の長さは約26キロメートルとされ、ほぼ東西方向に延びています。
つまり、水縄活断層は久留米市にとって「遠くの断層」ではありません。市内やその周辺に関係する、非常に身近な活断層です。
この水縄断層帯が活動した場合、マグニチュード7.2程度の地震が発生すると推定されています。
これは、令和8年熊本地震のマグニチュード7.1をわずかに上回り、2016年の熊本地震で本震とされるマグニチュード7.3に迫る規模です。
マグニチュード7級の地震が久留米市のすぐ近くで発生すれば、建物の倒壊や家具の転倒だけでなく、停電や断水、道路・鉄道などの交通網にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
つまり、水縄断層帯で想定されている「マグニチュード7.2」という数字は、令和8年熊本地震とほぼ同規模、さらに2016年熊本地震の本震にも近い規模の地震が、久留米の身近な活断層で発生する可能性があるということです。
水縄断層帯が動いた場合の想定被害
福岡県の地震に関する防災アセスメントでは、水縄断層帯による地震が発生した場合、県内で最大震度7が想定されています。
福岡県全体で見た主な被害想定は、次のとおりです。
| 想定地震 | 地震規模 | 30年以内の発生確率 | 最大震度 | 全壊・全焼 | 半壊 | 死者 | 負傷者 | 避難者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水縄断層帯 | M7.2 | ほぼ0% | 7 | 11,000棟 | 44,000棟 | 300人 | 4,300人 | 79,000人 |
これは久留米市だけの被害想定ではなく、福岡県内全体での想定です。
それでも、水縄断層帯が久留米市に関係する活断層であることを考えると、久留米市民にとって無視できない数字です。
また、ライフラインへの影響として、福岡県の想定では水縄断層帯の地震で、停電4,800軒、断水人口4,800人、下水道支障人口10,000人、不通回線3,300回線、道路被害670箇所、鉄道被害190箇所なども示されています。
地震で怖いのは、揺れそのものだけではありません。
揺れた後に、水が出ない、トイレが使えない、スマートフォンが充電できない、道路が通れない、電車が止まるという生活の混乱が起こることです。
「発生確率が低い」ことは「起きない」ことではない
水縄断層帯の30年以内の地震発生確率は、国の評価では「ほぼ0%」とされています。
この数字だけを見ると、「久留米市で大きな地震が起きる可能性はかなり低い」と感じるかもしれません。
しかし、ここで思い出したいのが2016年の熊本地震です。
熊本地震を引き起こしたとされる布田川断層帯の地震についても、事前の30年以内発生確率は1%未満とされていました。それでも、実際には最大震度7を観測する大地震が発生しました。
つまり、「発生確率が低い」と「絶対に起きない」は違います。
久留米市内を通る活断層があり、過去には大きな地震との関係も指摘されている以上、確率だけを見て油断するのは危険です。
久留米周辺の大地震の歴史
久留米周辺の地震の歴史として重要なのが、679年の筑紫地震です。
久留米市によると、市内の遺跡調査から、水縄断層帯の最新の活動は679年、天武7年の筑紫地震である可能性があるとされています。
筑紫地震は、マグニチュード6.5から7.5程度の規模だったと推測されています。『日本書紀』には、幅約6メートル、長さ約10キロメートルの地割れが生じ、家屋の倒壊が多数あったという記録が残されています。
古代の地震であるため、現在の観測記録と同じように考えることはできません。しかし、久留米周辺が地震の歴史と無関係ではないことを示す重要な出来事です。
久留米は「水害の町」という印象が強い一方で、古代の大地震とも関係する可能性がある地域なのです。
関連記事:久留米と筑後川の水害史
南海トラフ地震が久留米市に与える影響
地震への不安として、多くの人が思い浮かべるのが南海トラフ地震です。
南海トラフ地震は、主に太平洋側の広い範囲に大きな被害をもたらすと想定されている巨大地震です。久留米市は太平洋沿岸の自治体ではないため、津波による直接的な被害を大きく心配する地域ではありません。
しかし、南海トラフ地震が久留米市にまったく影響しないわけではありません。
福岡県の想定では、南海トラフ地震による県内最大震度は5強とされています。県内全体では、全壊・全焼700棟、半壊3,200棟、避難者3,100人が想定されています。
水縄断層帯や警固断層帯などの直下型地震に比べると、福岡県内の被害想定は小さく見えます。
ただし、南海トラフ地震は西日本全体に大きな被害をもたらす可能性がある巨大災害です。久留米市では、建物の揺れだけでなく、停電、断水、物流の混乱、交通機関の乱れ、支援の遅れなども考えておく必要があります。
特に、食料品や日用品、ガソリン、医薬品などの流通に影響が出れば、久留米市内で大きな被害が出ていなくても、生活に支障が出る可能性があります。
南海トラフ地震については、「久留米が壊滅する」という話ではなく、「広域災害の影響を受ける可能性がある」と考えるのが現実的です。
南海トラフ以外に福岡県で想定される活断層地震
福岡県の防災アセスメントでは、南海トラフ地震のほか、県内の主な活断層による地震も想定されています。
対象となっているのは、次の活断層です。
| 想定地震 | 地震規模 | 30年以内の発生確率 | 最大震度 | 全壊・全焼 | 死者 | 避難者 |
| 小倉東断層 | M7.1 | 不明 | 7 | 11,000棟 | 500人 | 79,000人 |
| 福智山断層帯 | M7.2 | ほぼ0〜3% | 7 | 11,000棟 | 400人 | 79,000人 |
| 西山断層帯 | M7.9〜8.2 | 不明 | 7 | 41,000棟 | 1,800人 | 293,000人 |
| 宇美断層 | M7.1 | ほぼ0% | 7 | 35,000棟 | 1,900人 | 343,000人 |
| 警固断層帯 | M7.7 | 0.3〜6% | 7 | 36,000棟 | 1,800人 | 319,000人 |
| 日向峠・小笠木峠断層帯 | M7.2 | 不明 | 7 | 19,000棟 | 900人 | 197,000人 |
| 水縄断層帯 | M7.2 | ほぼ0% | 7 | 11,000棟 | 300人 | 79,000人 |
| 南海トラフ地震 | M8〜9クラス | 60〜90% | 5強 | 700棟 | わずか | 3,100人 |
久留米市に最も直接関係するのは水縄断層帯です。
一方で、福岡県全体で見れば、警固断層帯、宇美断層、西山断層帯などでも大きな被害が想定されています。
福岡市や北九州市方面の地震であっても、交通、物流、通信、経済活動に影響が出れば、久留米市の生活にも波及する可能性があります。
地震は、震源地だけの問題ではなく、広い地域の生活を一気に揺らす災害です。
久留米市民が確認しておきたい地震への備え
地震への備えで大切なのは、特別なことを一度にすべて行うことではありません。
まずは、家の中で危険な場所を減らし、停電や断水が起きたときに数日間しのげるようにすることです。
確認しておきたい主な備えは、次のとおりです。
・家具を固定する
・寝室に倒れやすい家具を置かない
・食器棚や本棚の転倒防止をする
・水と食料を備蓄する
・非常用トイレを用意する
・モバイルバッテリーを充電しておく
・懐中電灯やランタンを準備する
・家族との連絡方法を決めておく
・避難所の場所を確認する
・車が使えない場合の避難ルートを考えておく
・高齢者や子どもがいる家庭では、避難の手順を話し合っておく
久留米市では水害への備えも必要ですが、地震の場合は「家の中でけがをしないこと」「断水や停電に備えること」が特に重要です。
地震に備えて自宅に置いておきたい防災グッズ
地震への備えは、まず水、トイレ、電源から考えるとわかりやすくなります。
大きな地震が起きると、断水でトイレが使えなくなる可能性があります。停電すれば、スマートフォンの充電もできなくなります。道路や物流に影響が出れば、すぐに買い物へ行けないこともあります。
最低限、次のようなものは自宅に備えておきたいところです。
保存水、非常食、非常用トイレ、凝固剤、モバイルバッテリー、懐中電灯、ランタン、乾電池、軍手、救急用品、ウェットティッシュ、携帯ラジオ、防災リュックなど。
非常食や飲料水だけでなく、ライトや簡易トイレ、衛生用品なども含めてまとめて備えておきたい人には、防災士・消防士監修の「あかまる防災 充実の44点セット」という選択肢もあります。
防災士監修の防災グッズ44点セットまた、地震への備えでは非常食の準備も欠かせません。
停電や断水によって調理が難しくなることも考えられるため、長期保存でき、必要なときに手軽に食べられる食品を用意しておくと安心です。
「安心米のアルファー食品」では、非常食や備蓄食料として使えるアルファ化米などを取り扱っています。災害時の備蓄だけでなく、登山やキャンプなどにも利用できます。
もしものときに備えて、家庭の人数に合わせた食料を一度確認しておくのもよいでしょう。
おいしい非常食|アルファー食品オンラインショップ地震のあとに長時間の停電が発生した場合、スマートフォンの充電や照明、家電製品の使用が難しくなることがあります。
そうした停電時の備えとして役立つのが、ポータブル電源です。
Jackeryのポータブル電源は大容量モデルもあり、USBだけでなくコンセントから電源を取れる製品もあります。災害時の非常用電源としてはもちろん、キャンプや車中泊などのアウトドアでも利用できます。
停電が長引いた場合に「何を動かしたいか」を考えながら、必要な容量のポータブル電源を備えておくのも一つの方法です。
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源大きな地震では、断水によって自宅のトイレが使えなくなることもあります。
食料や水は備えていても、意外と見落としやすいのが非常用トイレです。避難所に行かず自宅で過ごす場合でも、トイレが使えない状態は大きな負担になります。
防災士監修の備えブランド「スツーレ」では、災害時に使える非常用トイレを取り扱っています。
断水時に備えて、家族の人数や必要日数を考えながら、非常用トイレも備蓄しておくと安心です。
普段使いから非常時まで。フェーズフリーな防災グッズ専門ブランド【スツーレ】地震だけでなく水害や断水時にも役立ちます。久留米市のように水害への備えも必要な地域では、優先度の高い防災用品といえます。
まとめ
水縄活断層の存在、679年の筑紫地震との関係、南海トラフ地震の広域的な影響を考えると、久留米市でも地震への備えは必要です。
発生確率が低いからといって、何も備えなくてよいわけではありません。
熊本地震のように、事前の確率だけでは想定できなかった大地震もあります。
不安をあおる必要はありません。しかし、油断する必要もありません。
大きな地震が起きる前に、家の中、避難先、備蓄、家族との連絡方法を確認しておくことが、久留米市で暮らす私たちにできる現実的な防災です。
久留米市の災害時の避難場所は、町名別にこちらの記事で詳しく整理してます。
また久留米市は、地震だけでなく、台風、筑後川の氾濫、梅雨の大雨による内水氾濫など、水害への備えが注目されやすい地域です。
水害については、こちらの記事で詳しく整理しています。

