JR久留米駅前で進む「JR久留米駅前第二街区第一種市街地再開発事業」で、小売店舗の面積が当初計画から約44%縮小されることが分かりました。
当初予定されていた店舗面積は2,935平方メートルでしたが、変更後は1,644平方メートルになります。
単純計算すると1,291平方メートルの減少で、約44%減です。
JR久留米駅前では、高さ130メートルを超えるタワーマンションの建設が進み、駅前の景色そのものが大きく変わりつつあります。
一方で、その足元につくられる商業部分については、当初より大幅に規模が縮小することになりました。
今回は、福岡県が公表した変更内容を整理しながら、JR久留米駅前の再開発が現在どこまで進んでいるのかを見ていきます。
店舗面積は2,935㎡から1,644㎡へ
JR久留米駅前第二街区市街地再開発組合は2026年8月7日、大規模小売店舗立地法に基づく変更届を福岡県に提出しました。福岡県は8月14日、その内容を公告しました。
変更された店舗面積は次の通りです。
- 変更前:2,935平方メートル
- 変更後:1,644平方メートル
- 減少面積:1,291平方メートル
- 減少率:約44%
つまり、当初計画されていた小売店舗部分の半分近くが縮小されたことになります。
福岡県に提出された変更届には、その理由について、
「店舗面積減少による施設配置計画変更のため」
と記載されています。
駐車場や駐輪場も縮小される
店舗面積だけではありません。
店舗棟屋上に整備される駐車場も、
72台から58台
へ変更されます。
さらに店舗用の駐輪場についても、当初の合計147台から82台へ変更されます。
廃棄物保管施設の容量も18.75立方メートルから10.55立方メートルへ縮小されます。
店舗面積の変更に合わせて、商業施設全体の配置計画を組み直していることが分かります。
なお、変更予定日は2027年4月8日とされています。
JR久留米駅前には458戸の住宅ができる
一方、再開発の住宅部分は非常に大きな規模です。
久留米市によると、住宅棟には、
- 一般分譲住宅343戸
- シニア向け住宅115戸
の合計458戸が整備されます。
高さは130メートルを超え、36階建てです。
一般分譲部分の「久留米ザ・タワー レジデンシャル」は販売も進んでおり、久留米市は2025年に九州地区で販売された新築分譲マンションの中で成約戸数1位になったと説明しています。
このタワーマンションについては、以前の記事で建物の規模だけではなく、JR久留米駅前に居住人口を集めることが街に何をもたらすのかを整理しました。
関連記事:JR久留米駅前のタワマンとは何なのか|343戸の建物が示す再開発の現在地
住宅部分が大きく進む一方で、今回明らかになったのが商業部分の縮小です。
スーパーはどうなったのか
気になるのが、店舗棟に入る予定とされてきたスーパーマーケットです。
久留米市は2026年4月時点で、店舗棟について、
「1、2階にスーパーマーケットやカフェなどの店舗が入居予定」
と説明しています。
また、再開発組合が2025年に実施した施設名称の公募要項にも、スーパーや物販店舗などの商業施設を整備すると記載されています。
つまり、少なくとも公表されている計画上、スーパーそのものが消えたとは確認できません。
ただし、2026年8月現在、久留米市や再開発組合などが公表している情報を確認した限りでは、具体的にどのスーパーマーケットが入居するのかは公表されていません。
再開発組合は2025年10月から店舗棟のテナント募集も行っています。
したがって現時点では、
「スーパーが撤退した」
あるいは、
「スーパーが決まっていない」
と断定することはできません。
確認できる事実は、店舗面積が約44%縮小された一方で、スーパーについては現在も具体的な事業者名が公表されていない、というところまでです。
もともとJR久留米駅前は商業の弱さが課題だった
今回の変更が気になる理由は、JR久留米駅前の歴史にあります。
JR久留米駅は九州新幹線が停車する久留米市の広域交通の玄関口です。
しかし、久留米市の日常的な商業の中心は長い間、西鉄久留米駅周辺にありました。
JR久留米駅前では駅前広場やマンションなどの整備が進んできましたが、西鉄久留米周辺のような商業集積は形成されていません。
久留米ジャーナルでは以前、JRと西鉄という二つの駅を比較しながら、久留米の駅前再開発について整理しています。
関連記事:久留米市の駅前再開発は成功するのか|JRと西鉄、二つの中心を検証
この記事ではJR久留米側について、
「商業で勝つのではなく、居住で滞留人口を生む戦略」
という位置づけで考えました。
今回の店舗面積縮小を見ると、この傾向はさらに明確になったとも考えられます。
458戸の住民はどこで買い物をするのか
ただし、住宅主体の再開発であっても、日常生活には商業機能が必要です。
458戸の住宅が完成すれば、これまでより多くの人がJR久留米駅前で生活することになります。
そこで必要になるのが、
食料品をどこで買うのか。
日用品をどこで買うのか。
駅前で飲食する場所がどの程度できるのか。
という生活の部分です。
店舗面積1,644平方メートルは、決して商業施設がなくなるという規模ではありません。
しかし、当初計画の2,935平方メートルから約44%減ったという事実は、駅前にどの程度の商業機能が形成されるのかを考えるうえで無視できません。
特にスーパーの規模や店舗名は、タワーマンションの住民だけではなく、JR久留米駅周辺で暮らす人にとっても重要になります。
「タワマンが完成すること」と「駅前が完成すること」は違う
JR久留米駅前では巨大な住宅棟が日に日に姿を現しています。
建物そのものを見れば、再開発が大きく進んでいることは間違いありません。
しかし、再開発の成否はタワーマンションが完成しただけでは決まりません。
そこに人が住み、
買い物をし、
飲食をし、
駅前を歩き、
周辺の店舗を利用する。
そうした日常が生まれて初めて、駅前は街として機能します。
今回明らかになった店舗面積の44%縮小は、再開発そのものが失敗したことを意味するものではありません。
一方で、住宅部分の規模に比べて商業部分がどのような形になるのかという、新たな確認材料が出てきたことは確かです。
2027年春、タワーマンションが完成した後、JR久留米駅前にはどのような店が入り、人がどのように動くのでしょうか。
スーパーを含む具体的なテナントの発表が、次の大きな注目点になりそうです。
また「商業施設と一体の再開発」を特徴として販売されてきたマンションだけに、店舗面積が約44%縮小された今回の変更を契約者がどのように受け止めるのかも、今後注目されます。
久留米の再開発全体については、西鉄久留米、JR久留米、商店街、文化街、合川・ゆめタウン周辺への消費移動まで含めて、こちらの記事で整理しています。
JR久留米駅前の再開発も、単にマンションや店舗を建てるだけの事業ではありません。
どこに公共投資を行い、どの地域に人を集め、久留米の街をこれからどのような形にしていくのか。再開発の背景には、市長や市議会を含めた久留米市政の判断があります。
久留米市の政治構造や、現在の市政をめぐる動きについては、こちらの記事でまとめています。
