久留米市には、県立高校、市立高校、私立高校に加え、中学校卒業後から5年間の専門教育を受ける久留米工業高等専門学校があります。
高校選びというと、どうしても「偏差値がいくつなのか」「どの高校に合格できるのか」に目が向きがちです。
しかし、人生は高校入学で終わるわけではありません。
大学へ進学するのか、専門学校へ進むのか、高校で身につけた技術を生かして就職するのか。それとも高専から大学へ編入するのか。
高校によって、その先に広がっている進路はかなり違います。
この記事では、久留米市内で中学校卒業後の進学先となる高校・高専を、2026年度の参考偏差値をもとに紹介します。あわせて、それぞれの学校の特色と卒業後の主な進路も見ていきます。
久留米市の高校・高専を偏差値順に一覧
久留米市内には、現在、高校11校と久留米工業高等専門学校があります。
福岡県立高校は明善、久留米、久留米筑水、三潴、浮羽工業の5校。久留米市立高校は南筑と久留米商業の2校、私立高校は久留米大学附設、久留米学園、久留米信愛、祐誠の4校です。これに国立の久留米工業高等専門学校が加わります。
| 順位 | 学校名 | 区分 | 参考偏差値 | 卒業後の主な進路 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 久留米大学附設高校 | 私立 | 75 | 難関国公立大・医学部など |
| 2 | 明善高校 | 県立 | 70~72 | 国公立大・私立大 |
| 3 | 久留米工業高等専門学校 | 国立高専 | 66~68 | 就職・専攻科・大学編入 |
| 4 | 祐誠高校 | 私立 | 39~63 | 大学・専門学校・工業系就職 |
| 5 | 久留米高校 | 県立 | 60~62 | 4年制大学を中心に進学 |
| 6 | 久留米信愛高校 | 私立 | 52~59 | 国公立大・私立大・医療系など |
| 7 | 久留米商業高校 | 市立 | 55~56 | 大学・専門学校・公務員・就職 |
| 8 | 南筑高校 | 市立 | 47 | 大学・専門学校・公務員・就職 |
| 9 | 久留米学園高校 | 私立 | 40~44 | 大学・専門学校・公務員・就職 |
| 10 | 久留米筑水高校 | 県立 | 43~44 | 大学・専門学校・農業・食品・福祉・調理関係など |
| 11 | 浮羽工業高校 | 県立 | 43 | 工業系企業への就職・進学 |
| - | 三潴高校 | 県立 | 同一資料では掲載なし | 大学・専門学校・公務員・就職 |
偏差値は「みんなの高校情報」の2026年度版を中心に掲載しています。同サイトでは、2026年4月入学者向けの模試結果をもとに算出した参考値とされており、学校の教育内容そのものを順位づけする数字ではありません。
三潴高校は同じ資料では偏差値が掲載されていません。別の受験資料では「39以下」とするものもありますが、算出方法が異なるため、この一覧では他校と単純比較していません。
偏差値だけでは高校は選べない
一覧を見ると、久留米大学附設高校や明善高校が上位に並びます。
しかし、偏差値が高ければすべての生徒にとって最適な学校になるわけではありません。
大学進学を目指すのであれば普通科の進学校が有力な選択肢になります。一方、高校卒業後に働きたいのであれば、工業や商業、農業、食品、福祉などを高校時代から学ぶ道もあります。
久留米には、そのどちらもあります。
ここから各校を見ていきましょう。
久留米大学附設高校|偏差値75
久留米大学附設高校は、久留米市を代表する私立進学校です。
中高一貫教育を行っていますが、高校からの募集もあります。
学校側は「全員が大学進学を志望」としており、東京大学、京都大学、九州大学、医学部医学科などへの進学者を多数送り出しています。2021年から2025年までの5年間では、国公立大学への進学者が804人、私立大学が174人となっています。
卒業後の進路まで含めて考えると、大学進学を前提とした学校と考えてよいでしょう。
久留米大学附設については、学校の歴史や出身者などを別の記事でも詳しく紹介しています。
関連記事:久留米大学はなぜキャンパスが分かれているのか|医学部(旭町)と御井・附設の関係
関連記事:久留米大学附設高校出身の有名人一覧
明善高校|偏差値70~72
明善高校は、久留米市城南町にある県立高校です。
普通科、普通科総合文科コース、理数科があり、久留米を代表する公立進学校の一つです。
2026年度の参考偏差値は70~72。理数科が72、普通科などが70とされています。
卒業後は大学進学が中心です。
2026年度入試では九州大学64人、大阪大学10人、京都大学4人、東京大学2人などの合格者を出しており、国公立大学の合格者は215人でした。
附設とは設置主体も校風も違いますが、「大学進学」という出口から見ると、久留米市内を代表する高校の一つです。
明善高校の歴史や著名な卒業生については、別記事で詳しく紹介しています。
関連記事:明善高校とは|久留米藩の藩校から続く240年の歴史と著名な出身者
久留米工業高等専門学校|偏差値66~68
久留米工業高等専門学校、いわゆる「久留米高専」は高校ではありません。
しかし、中学校卒業後に入学する学校なので、進路を考えるうえでは高校と並べて考える必要があります。
高専の大きな特徴は、本科が5年間あることです。
普通高校なら、
中学校→高校3年間→大学
という流れが一般的ですが、高専では、
中学校→高専5年間→就職
という道があります。
さらに、
中学校→高専5年間→大学へ編入
あるいは、
中学校→高専5年間→専攻科
という進路もあります。
実際に久留米高専からは九州大学、九州工業大学、熊本大学、豊橋技術科学大学などへの進学実績があり、一方で三菱重工業、パナソニック、JR、東京エレクトロンなどへの就職実績もあります。
大学進学か就職かを高校3年生で初めて考えるのではなく、中学校卒業時点から専門技術の道に入る選択肢です。
祐誠高校|偏差値39~63
祐誠高校は、普通科と工業科を持つ私立高校です。
特徴的なのは、コースや学科によって進路が大きく異なることです。
2026年度版の参考偏差値は39~63と幅があります。
普通科では大学進学を目指すことができ、2026年には大阪大学や九州大学などへの合格者も出ています。
一方、工業科では実習や資格取得を生かした就職という道があります。学校紹介による工業科の就職内定率は22年連続100%とされています。
つまり祐誠は、一つの学校の中に「大学進学」と「専門技術を身につけて働く」というかなり異なる進路が存在する高校です。
偏差値だけを一つの数字で見ると、この学校の性格は見えにくいでしょう。
久留米高校|偏差値60~62
福岡県立久留米高校は、西町にある県立高校です。
普通科と英語科があり、2026年度の参考偏差値は普通科62、英語科60となっています。
普通科では文系・理系双方の大学進学に対応したカリキュラムが組まれており、英語科では語学力を生かした進路を目指すことができます。
明善とはまた違った位置から、大学進学を目指す県立高校です。
今後、久留米高校についても歴史や進路実績を含めて個別記事で詳しく取り上げたいところです。
久留米信愛高校|偏差値52~59
久留米信愛高校は御井町にある私立高校です。
2026年度の参考偏差値は52~59。
大学進学に力を入れており、2026年度入試では国公立大学に37人が合格。熊本大学、九州工業大学、長崎大学、鹿児島大学、佐賀大学などへの合格者を出しています。
また、医学・歯学・薬学・看護など医療系への進学者が多いことも特徴です。
久留米には久留米大学医学部や聖マリア学院大学など医療系教育機関もあり、医療分野への進学を考える生徒にとっても選択肢の一つになります。
久留米信愛は、久留米にゆかりのある著名人ともつながりのある学校です。
松田聖子は、1977年に当時の久留米信愛女学院高校へ入学。その後、芸能活動のため東京の高校へ転校しています。
関連記事:松田聖子とは何者か?
また、俳優の吉田羊も久留米信愛高校の出身です。
関連記事:吉田羊とは何者か?
久留米商業高校|偏差値55~56
久留米市立久留米商業高校、通称「久商」は、経営科学科を設置する市立高校です。
2026年度入学者では、経営科学科の中に大学進学コース、経営情報コース、経営総合コースが設けられています。
参考偏差値は55~56です。
「商業高校=卒業後すぐ就職」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、現在の久商には大学進学という道もあります。
簿記や情報処理などの商業教育を受け、資格を取得しながら大学を目指すこともできれば、資格を生かして企業へ就職することもできます。
実際に学校案内では、商業系の資格を取得し、同志社大学商学部へ進学した卒業生も紹介されています。
進学か就職かを最初から一本に決めるのではなく、商業教育を受けながら出口を選べる高校といえるでしょう。
南筑高校|偏差値47
南筑高校は御井町にある久留米市立高校です。
普通科を設置し、2026年度の参考偏差値は47です。
卒業後の進路は幅広く、4年制大学や専門学校への進学だけでなく、公務員や民間企業への就職実績があります。
学校が公表する実績には、消防、警察、自衛隊などの公務員のほか、九州電力、西日本鉄道、ブリヂストンなどへの就職例もあります。
「普通科に進みたいが、大学進学だけに進路を限定したくない」という生徒にとっても一つの選択肢になります。
南筑高校は、久留米で結成されたチェッカーズとも縁の深い学校です。
リードボーカルを務めた藤井フミヤと、サイドボーカルの鶴久政治はいずれも南筑高校の出身です。藤井フミヤは高校時代の仲間とチェッカーズの原型となるバンドを結成しており、南筑高校はチェッカーズ誕生の背景をたどるうえでも重要な場所の一つです。
関連記事:チェッカーズとは何だったのか
久留米学園高校|偏差値40~44
久留米学園高校は東町にある私立高校です。
普通科と総合学科があり、普通科には進学コースと公務員コース、総合学科には美容、フードライフ、ビジネス、保育、教養福祉、情報の各系列があります。
参考偏差値は40~44です。
卒業後も大学、短期大学、専門学校、公務員、民間企業への就職と幅広い進路があります。
学校側が公表している進路先にも、久留米大学や久留米工業大学などへの進学、警察や自衛隊などの公務員、製造・販売・介護・調理などへの就職が並んでいます。
高校時代から興味のある職業分野を具体的に学びたい人に向いた学校です。
久留米筑水高校|偏差値43~44
久留米筑水高校は山川町にある県立高校です。
園芸、食品、造園、福祉、調理など、普通高校とはかなり違う専門教育を行っていることが特徴です。
2026年度の参考偏差値は43~44です。
しかし、この学校も偏差値だけを見ていては本質が見えません。
たとえば園芸系から農業大学校や大学へ進む生徒がいる一方、農業・食品関連企業などへの就職もあります。
社会福祉分野では福祉系大学や看護・医療系専門学校、福祉施設への就職、食物調理分野では調理・栄養系の大学や専門学校、ホテルや飲食業への就職などがあります。
「高校で何を学んだか」が、そのまま卒業後の仕事につながりやすい学校の一つです。
久留米筑水高校の著名な出身者には、ロックバンドZYYGのボーカル・高山征輝や、元HKT48で声優として活動する山田麻莉奈がいます。
浮羽工業高校|偏差値43
浮羽工業高校は田主丸町にある県立の工業高校です。
参考偏差値は43です。
建築、機械、電気など工業分野を学び、卒業後は高校で身につけた技術を生かして企業へ就職する生徒が多いのが特徴です。
学校は就職率100%を掲げ、九州電力、九電工、製造業、建設業など、工業系を中心とした企業への就職実績を公表しています。
大学進学だけが「良い進路」なのではありません。
18歳の段階で専門技術を身につけ、企業に入って経験を積み始めるという道もあります。
三潴高校|普通科とスポーツ文化コース
三潴高校は城島町にある県立高校です。
普通科のほか、スポーツ文化コースがあります。
今回、偏差値をそろえた「みんなの高校情報」では2026年度の数値が掲載されていないため、一覧では順位をつけませんでした。進研ゼミの2026年度入試情報では普通科、スポーツ文化コースともに「39以下」とされていますが、偏差値の算出方法が違うため他校との単純比較には注意が必要です。
卒業後は4年制大学、専門学校、公務員、民間企業など幅広い進路があります。
2025年度には久留米大学、福岡大学などへの進学者がいるほか、税務職員、大阪府警察、自衛隊への進路、ブリヂストン久留米工場やトヨタ自動車などへの就職実績があります。
大学進学一辺倒ではない進路の幅が特徴です。
三井中央高校は2026年3月に閉校
以前の久留米市の高校一覧を見ると、「三井中央高校」という名前が出てくることがあります。
三井中央高校は北野町にあった公立女子高校ですが、2026年3月31日をもって閉校しました。
そのため、現在の中学生がこれから受験する高校一覧には含めていません。
63年の歴史を持つ高校だったため、久留米の教育史を考えるうえでは、いずれ別記事として残しておいてもよい学校でしょう。
大学進学だけが高校卒業後の進路ではない
久留米市内の高校を並べてみると、かなり性格が違うことが分かります。
久留米大学附設や明善は、大学進学が学校生活の大きな軸になっています。
久留米高校や久留米信愛にも大学進学という明確な道があります。
一方、久留米商業なら商業、浮羽工業や祐誠なら工業、久留米筑水なら農業・食品・福祉・調理といった専門分野を高校時代から学ぶことができます。
久留米高専なら、そもそも高校3年間とは違う5年間の専門教育という道があります。
同じ中学校を卒業した生徒でも、15歳から選ぶ道によって、18歳、20歳、その先の景色はかなり変わってきます。
久留米で高校を選ぶときに考えたいこと
もちろん、受験する以上は偏差値も重要です。
自分の現在の学力を知り、合格可能性を考える材料になります。
ただし、高校選びでは偏差値だけでなく、
- 高校で何を学びたいのか
- 大学へ進学したいのか
- 高校卒業後に働きたいのか
- 専門技術や資格を身につけたいのか
- 部活動や学校生活で何をしたいのか
- 自宅から3年間、あるいは5年間通えるのか
まで考えておきたいところです。
偏差値が数ポイント高い学校へ入ることだけが、高校選びの目的ではありません。
重要なのは、その学校に入ったあとです。
まとめ
久留米市には、大学進学に強い高校から、商業、工業、農業、食品、福祉、調理などを専門的に学べる高校、さらに5年間専門教育を受ける高専まで、多様な進学先があります。
偏差値を見ることは、受験校を考える第一歩にはなります。
しかし、高校はゴールではありません。
その学校で何を学び、卒業したあとにどこへ向かうのか。
そこまで見て初めて、自分に合った高校選びが見えてくるのではないでしょうか。
