久留米市内に住んでいると、週末の夜になるとバイクの爆音が聞こえてくることがあります。
一度通り過ぎて終わることもあれば、複数台が長時間にわたって走っているように感じる夜もあります。
とくに国道3号や上津バイパス周辺では、こうした爆音走行を耳にしたことがある人も少なくないでしょう。
そこで浮かぶのが、素朴な疑問です。
「毎週のように走っているのなら、なぜ警察は取り締まらないのか?」
ところが、福岡県警などの公開資料を調べてみると、実態はもう少し複雑でした。
久留米警察署は、暴走族や不正改造車両を取り締まっていないわけではありません。
むしろ、実際に国道3号や上津バイパスで取締りを行っています。
それでも、週末になると再び爆音が聞こえてきます。
では、なぜなのでしょうか。
久留米警察署は実際に国道3号で取り締まっている
まず確認しておきたいのは、久留米警察署が暴走・爆音走行を放置しているわけではないということです。
2026年のゴールデンウィーク期間中には、久留米警察署などが国道3号や上津バイパスを中心として、不正改造車両に対する取締りを強化しました。
福岡県警察本部交通企画課は、この取締りによって「整備不良違反等を多数検挙した」と発信しています。
つまり警察側も、国道3号や上津バイパスが爆音走行や不正改造車両への対策が必要な道路であることを把握していると考えられます。
「警察がどこを走っているのか知らない」という単純な話ではなさそうです。
福岡県全体では年間1800件を超える検挙
福岡県全体で見ても、暴走族等に対する取締り件数は決して少なくありません。
福岡県の資料によると、2024年には暴走族等に関連する交通関係法令違反などで計1813件、1770人が検挙されています。
このうち共同危険行為は10件51人。道路運送車両法違反は28件28人でした。
さらに不正改造車両は二輪車86台、四輪車6台の計92台が押収されています。
少なくとも数字だけを見る限り、「福岡県警が暴走族をほとんど取り締まっていない」とはいえません。
むしろ年間を通して相当数の違反を検挙しています。
それでも久留米では、週末になると再び爆音が聞こえてきます。
ここに、この問題の難しさがあります。
「暴走族」と「爆音を出すバイク」は必ずしも同じではない
ここで一つ整理しておきたいことがあります。
住民から見れば、夜中に大きな音を立てながら何台ものバイクが走っていれば「暴走族」に見えます。
しかし警察が取り締まる場合には、実際にどの法律に違反しているのかを確認する必要があります。
警察庁は暴走族等について、
・共同危険行為等禁止違反
・騒音関係違反
・車両の不正改造に関する違反
などを適用して取り締まっています。
警察庁がいう「騒音関係違反」には、近接排気騒音に関する整備不良、消音器不備、騒音運転などが含まれます。
つまり「うるさいバイクが走っている」という状態と、複数台が蛇行したり道路を塞いだりする「共同危険行為」では、警察が適用する違反も異なります。
爆音そのものが迷惑であることと、その場ですぐに暴走族として一括して検挙できるかどうかは、別の問題なのです。
「旧車會」という存在もある
さらに現在では、昔ながらの暴走族だけでなく「旧車會」と呼ばれる集団も存在しています。
警察庁は、旧型の自動二輪車などを暴走族風に改造して集団走行するグループの中には、迷惑性の高い走行を行うものがあるとして、騒音関係違反などの取締りを行っています。
そのため、住民から見れば同じように見える集団走行でも、すべてが同じタイプの「暴走族」とは限りません。
信号無視や蛇行運転などを繰り返す集団もあれば、極端に大きな排気音を出しながら走ることが中心となっている集団もあります。
警察側からすると、それぞれの行為に応じた違反を確認して取り締まることになります。
久留米署の重点取締りを見ると「暴走族」の文字はない
一方で、気になる点もあります。
久留米警察署は「交通指導取締り指針」を公開しています。
2026年の指針では、国道322号や国道210号などを速度超過取締りの重点路線として設定する一方、飲酒運転や横断歩行者妨害、速度超過など、重大事故につながる可能性が高い違反を重点的に取り締まる方針を示しています。
また、重点として掲載されていない道路や時間帯であっても、ランダムに交通指導取締りを実施するとしています。
少なくとも公開されている通常の交通指導取締り指針を見る限り、「週末夜間の暴走族・爆音走行」が独立した重点項目として大きく掲げられているわけではありません。
もちろん、これは「取り締まっていない」という意味ではありません。
実際、ゴールデンウィークには国道3号や上津バイパスで集中取締りを行っています。
ただし、普段の週末にどの程度の頻度でこうした取締りを実施しているのかは、公開資料だけでは分かりません。
集中取締りをしても、また走れば元に戻る
ここに、住民側と警察側の見え方の違いがあるのかもしれません。
警察が一晩大規模な取締りを行い、複数の違反車両を検挙したとします。
しかし翌週、別の車両や別の人物が走れば、住民から見える光景はほとんど変わりません。
「また走っている」
となります。
一方、警察側からすれば、取締りを実施して違反者を検挙しています。
つまり、
「警察が取り締まっていないから暴走族が走っている」
という単純な構図ではありません。
取り締まっていても、道路そのものを24時間監視することはできず、爆音走行が繰り返されれば住民からは「いつも走っている」ように見えるのです。
久留米署単独の検挙件数は公開資料から分からない
今回、公開資料を調べていて一つ大きく分からなかったことがあります。
福岡県全体の暴走族等の検挙件数は公表されています。
また、久留米警察署などが国道3号や上津バイパスで取締りを行ったことも確認できます。
ところが、
「久留米警察署管内で年間何件検挙しているのか」
「国道3号・上津バイパスでは年間何件なのか」
「週末夜間に何回程度、取締りを実施しているのか」
「暴走・爆音走行について住民から何件の110番通報が寄せられているのか」
といった地域単位の細かな数字は、今回確認した公開資料からは分かりませんでした。
ここが、「毎週走っているのになぜ捕まらないのか」という疑問を完全には解消できない部分です。
それでも国道3号が取締り地点になっていることは重要
ただし、一つ確かなことがあります。
2026年のゴールデンウィークに、久留米警察署などが国道3号や上津バイパスを中心に不正改造車両の取締りを強化していることです。
これは、住民が感じている週末の爆音問題と、警察の認識がまったく離れているわけではないことを示しています。
警察側も問題の存在を認識して取締りを行っている。
それでも週末になると再び爆音が響く。
久留米で起きているのは「警察が何もしない」という問題よりも、
「取締りを行っても、爆音走行を継続的に封じ込めるまでには至っていない」
という状況に近いのかもしれません。
なぜ毎週走れるのか、その答えはまだ完全には見えない
最初の疑問に戻ります。
なぜ、久留米では週末になると暴走族や爆音を出すバイクが繰り返し走るのでしょうか。
公開資料から分かったのは、少なくとも久留米警察署が何もしていないわけではないということです。
国道3号や上津バイパスでは実際に取締りが行われ、不正改造車両などが検挙されています。
福岡県全体でも年間1800件を超える暴走族等に関する検挙があります。
一方で、久留米署管内で通常の週末にどの程度の取締りが行われ、何件を検挙しているのかまでは公開資料から分かりません。
住民にとって重要なのは「何件捕まえたか」だけではなく、週末の夜に爆音で睡眠を妨げられないことです。
集中取締りの日だけ静かになるのではなく、普段の週末も含めて走りにくい環境をどこまで作れるのか。
久留米の暴走・爆音問題を考えるなら、本当の論点はそこにあるのではないでしょうか。

