第十話 終わりの予兆

連載小説
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あの日から二人は、驚くほど自然に続いていた。
週に一度は会い、会えない日はメッセージを交わした。

夜を越え、朝を並び、ひと月も続いている。

(自分は特別だ)

そう口には出さないが、胸の奥で何度も確認していた。

だが、変化はいつも静かだ。

最初は返信の間隔だった。
すぐに返っていた言葉が、数時間空くようになった。
それからしばらくして、とうとう返信が途絶えた。

不安な気持ちでメッセージを送った。

「今週、少しだけ会えない?」

だが、翌朝も、二日目も、既読がつかない。
電話もしたが、出なかった。

(忙しいのだろう……)

だが本当は知っている。
人は、会いたい相手には時間を作る。

(何かあったのだろうか……)

二週間が過ぎた。
画面の一番上にあった真依という名前が、ゆっくりと下へ沈んでいく。
通知は来ない。

あの夜の重なった心音。
鳥類センターの光。
それらは確かだった。

だが、確かだったことと、続くことは別だった。

立ち上がり、真依の働くガールズバーへ向かった。
ファミマを抜けて、メイン通りを歩く。

笑い声。
キャッチの群れ。
酔っ払いたちの歌声。

かつて、この文化街の中で二人は出会った……はずだった。

つづく

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